ファン・ボルムの「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」(集英社:2023年9月30日第1刷発行、2024年2月7日第4刷発行)を読みました。
本屋のない町は、町ではない。
町だと名乗ることはできるだろうが
魂まで欺くことができないことを、
自身も知っているはずだ。
――ニール・ゲイマン(小説家)
「この小説にはわたしの好きなものが詰まっています。本、町の本屋さん、本で読んだ良いフレーズ、思考、省察、思いやりと親切。お互いの距離感を保てる人同士のゆるやかな連帯、成長、率直で深みのある対話、そっして、いい人たち」――著者
目次
書店はどんな姿であるべきか?
もう泣かなくてもいい
今日のコーヒーはどんな味ですか?
去ってきた人たちの物語
良い本を推薦できるだろうか?
沈黙する時間、対話する時間
書店主みずから司会を務めるトークイベント
コーヒーとヤギ
ボタンはあるのに穴がない
常連客たち
たわしイベントは無事に
ごくたまにはいい人
和音あるいは不協和音
あなたの文章はあなた自身とどれくらい似てますか?
下手な文章が良い声を隠す
心満たされる日曜日を過ごした夜には
なんでそんな顔してんの?
仕事に対するわたしたちの姿勢
書店が根を下ろすということ
きっぱり断りたかったけれど
受け入れられる感覚
怒りを鎮める能力が必要
ライティング講座スタート
あなたを応援します
オンマたちの読書クラブ
書店を開いて食べていけるだろうか?
今日はバリスタのいる月曜日
わたしが添削しましょう
率直に、心を込めて
コーヒーを淹れるときはコーヒーのことだけを考える
ヨンジュを訪ねてきた男性は誰なのか?
過去を解き放つ
なんどもないように
ただお互いに好きでいようということ
いい人が周りにたくさんいる人生
気持ちを確認するテスト
自分をもっといい人間にする空間
ベルリンで会いましょう
何が書店を存続させるのか?
作者のことば
訳者あとがき
ファン・ボルム:
小説家、エッセイスト。大学でコンピューター工学を専攻し、LG電子にソフトウェア開発者として勤務した。転職を繰り返しながら、「毎日読み、書く人間」としてのアイデンティティーを保っている。
著書に「毎日読みます」「生まれて初めてのキックボクシング」「このくらいの距離がちょうどいい」がある(いずれもエッセイ、未邦訳)。本書が初の長編小説となる。
牧野美加:
1968年、大阪生まれ。釜慶大学言語教育院で韓国語を学んだ後、新聞記事や広報誌の翻訳に携わる。
第1回「日本語で読みたい韓国の本翻訳コンクール」最優秀賞受賞。
チェ・ウニョン「ショウコの微笑」(共訳、クオン)、チャン・リュジン「仕事の喜びと哀しみ」(クオン)、ジェヨン「書籍修繕という仕事:刻まれた記憶、思い出、物語の守り手として生きる」(原書房)など訳書多数。
朝日新聞:2024年4月17日
朝日新聞:2024年4月20日