江國香織の「物語のなかとそと」(朝日新聞出版:2021年3月30日第1刷発行)を読みました。
田中みな実さん推薦
読み終えて確信する。私は作品にとどまらず、
江國さんという人物を丸ごと愛しているのだと。
書くこと、読むこと、その周辺。
豊かな物語を届ける著者の最新刊
読むことと、書くことにあけくれて暮らす著者の日常は、現実を生きている時間より、物語のなかにいる時間のほうがはるかにながい。散歩も、旅も、お風呂も、その延長のなかにある。創作と生活の「秘密」がひもとかれるスリリングな散文集。<解説・町屋良平>
すばらしい本を一冊読んだとき、いま自分のいる世界まで読む前とは違ってしまうあの力、架空の世界から現実にはみだしてくる、あの途方もない力。それについて、つまり私はこの散文集のなかで、言いたかったのだと思います。
(あとがきより)
目次
Ⅰ 書くこと
無題
秘密
「飛ぶ教室」のこと
パンのこと
Ⅱ 読むこと
読書ノート
模索と判断――私の人生を変えたこの小説
自由
マーガレット・ワイズ・ブラウンのこと
奇妙な場所
川上さんへの手紙
Ⅲ その周辺
散歩がついてくる
上海の雨
外で遊ぶ
所有する街
あとがき
解説 町屋良平
江國香織:
1964年東京都生まれ。87年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞、89年「409ラドクリフ」でフェミナ賞、92年「きらきらひかる」で紫式部文学賞、2002年「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」で山本周五郎賞、04年「号泣する準備はできていた」で直木賞、07年「がらくた」で島清恋愛文学賞、10年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。著書に「抱擁、あるいはライスに塩を」「なかなか暮れない夏の夕暮れ」「彼女たちの場合は」「去年の雪」など。
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