中野博文の「暴力とポピュリズムのアメリカ史――ミリシアがもたらす分断」(岩波新書:2024年1月19日第1刷発行)を読みました。
ミリシア、知らないことだらけでした。
二〇二一年初の米国連邦議会襲撃事件。憲法修正第二条を盾に武装した人民(ミリシア)と対峙する連邦キャピトル警察・州軍(ミリシア)が繰り広げる異様な光景が意味するものは何か。人民主権理念に基づいた国づくりを支え、時に反乱の母体となったミリシアから見た、暴力文化とポピュリズムをめぐる異色のアメリカ通史。
目次
はじめに
第1章 現代アメリカの暴力文化――2021年米国連邦議会襲撃事件の背景
1 猛り狂う暴徒に襲われた人々
2 二一世紀アメリカのポピュリズム――何が社会を蝕んでいるか?
3 ポピュリズム時代の民間ミリシア――革新されたミリシアの伝統
第2章 人民の軍隊――合衆国憲法が定める軍のかたち
1 北米植民地の軍事文化
2 独立革命という大波――軍の伝統と変革
3 革命国家の軍制
第3章 デモクラシーが変貌させたミリシアの姿
1 崩れていく建国期の軍制
2 新しいミリシアへ――志願兵によるミリシア部隊
3 メキシコ戦争を戦った兵士たち
第4章 転機としての南北戦争
1 総力戦を戦った人々
2 南北戦争下の特異な軍事動員
3 戦争で生まれ変わっていく社会
第5章超大国アメリカのミリシア
1 世界戦争を戦える軍隊の創造
2 軍制をめぐる人種紛争
3 公民権運動以降の州軍と民間ミリシア団体
おわりに――問い直される人民武装理念
あとがき
図表出典一覧
主要参考文献
略年表
中野博文:
1962年福岡県久留米市生まれ.1993年学習院大学大学院政治学研究科後期課程修了.博士(政治学).広島大学総合科学部専任講師を経て,北九州市立大学外国語学部助教授.現在,同学部教授.
専攻―アメリカ政治外交史
著書―『ヘンリ・アダムズとその時代 世界大戦の危機とたたかった人々の絆』(彩流社,2016年),『海のグローバル・サーキュレーション 海民がつなぐ近代世界』(田中きく代,遠藤泰生,金澤周作,肥後本芳男との編著,関西学院大学出版会,2023年),『アメリカ研究の現在地 危機と再生』(伊藤詔子,肥後本芳男との編著,彩流社,2023年)ほか
朝日新聞:2024年3月9日