菊池暁の「民俗学入門」(岩波新書:2022年1月20日第1刷発行)を読みました。
発売と同時に購入して、どういうわけか途中で読み進められず、放置していた本です。再度読んでみて、これほど面白い本は他にない、型破りな本です。
食べて着て働いて。
民俗学の間口はこんなに広い。
なかで迷子にならないために、
若い世代は
この本を手にしてほしい。
出口が見つかるかどうかは、
あなた次第。
――藤森照信(建築史家・建築家)
普通の人々が営む日々の暮らしを深く知り、驚く。人生と生活の細部に直に触れ、世界の奥行きに畏怖しながら、複数の歴史を「私(たち)」からつかみ出す。繰り返される過ちから目をそらさず、よりよい未来を考えたい。これが民俗学のエッセンスである。「人間にかかわることすべて」に開かれた、野心的な「共同研究」への誘い。
目次
はじめに――「せつなさ」と「しょうもなさ」を解きほぐす
序 章 民俗学というガクモンが伝えたいこと
コラム① 「日本的」と「伝統的」
第一章 暮らしのアナトミー
きる 【衣】
たべる 【食】
すむ 【住】
コラム② 「いま・ここ・わたし」から「あるく・みる・きく」へ
第二章 なりわいのストラテジー
はたらく 【生産・生業】
はこぶ 【交通・運輸】
とりかえる 【交換・交易】
コラム③ 目玉をみがく
第三章 つながりのデザイン
つどう1 血縁
つどう2 地縁
つどう3 社縁
コラム④ 聞くことの絶望と愉悦
終 章 私(たち)が資料である――民俗学の目的と方法
コラム⑤ リミナル・エスノグラファーズ
あとがき―「墓穴」としての入門書、あるいは、本書を書いてしまった理由
図版出典一覧
終章の後のコラム⑤リミナル・エスノグラファーズの取り上げられた僕が興味を持った本。
木下直之「ハリボテの町―通勤編(朝日文庫、1999)」
都築響一「圏外編集者」(朝日出版社、2015)
グレゴリ青山「ブッブン堂のグレちゃん―大阪古本屋バイト日記」(ちくま文庫、2013)
石井光太「本当の貧困の話をしよう―未来を変える方程式」(文藝春秋、2019)
桑原武夫「人間素描」(文藝春秋新社、1965)
目標とする先達を見つけることは、きっとステップアップの手がかりとなるだろう。
菊地 暁:
1969年北海道生まれ。京都大学文学部卒業、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。身長186cm
現在―京都大学人文科学研究所助教
専攻―民俗学
著書―『柳田国男と民俗学の近代――奥能登のアエノコトの二十世紀』(吉川弘文館)、『身体論のすすめ』(編、丸善)、『今和次郎「日本の民家」再訪』(共著、平凡社)、『日本宗教史のキーワード――近代主義を超えて』(共編著、慶應義塾大学出版会)、『学校で地域を紡ぐ――『北白川こども風土記』から』(共編著、小さ子社)