「少年と自転車」の公式サイトを見ていたら、ジェレミー・レニエについて、以下のように書かれていました。ジェレミー・レニエは、08年「ロルナの祈り」へ出演、麻薬中毒者の役作りのため15キロも体重を落として役に挑み期待にこたえ、ダルデンヌ作品には欠かせない俳優となる。その他の代表作には、ジョー・ライト監督の「つぐない」(07)、オリヴィエ・アサイヤス監督の「夏時間の庭」(08)などがある。
なんと、「ロルナの祈り」も「つぐない」も「夏時間の庭」も、たまたまですが、僕は観ていました。「ロルナの祈り」は、ジャン=ピエール・ダルデンヌ&リュック・ダルデンヌ監督だったんですね。ダルデンヌは兄弟監督、カンヌ映画祭史上初の5作品、「イゴールの約束」「ロゼッタ」「息子のまなざし」「ある子供」そして「ロルナの祈り」と連続受賞の快挙、だそうです。
去年の5月、オランダ・ベルギー旅行に行ってきました。気がついたのは、自転車利用者数が多く、そして自転車専用道路が完備していること、これには驚きました。「少年と自転車」、題名だけだとイタリア映画の「自転車泥棒」、戦後の貧困の中で生きた親子を描いた傑作を思い浮かべます。また最近ではイタリアの「自転車泥棒」を下敷きにしていると思いますが、「北京の自転車」を思い浮かべます。主人公は17歳の少年二人、一人は農村から出稼ぎに来たグイ、もう一人は町に住む高校生ジェンでした。
公式サイトには以下のようにあります。もうすぐ12歳になる少年シリル。彼の願いは、自分を児童養護施設へ預けた父親を見つけ出し、再び一緒に暮らすこと。ある日、シリルは美容院を経営するサマンサと出会い、週末を彼女の家で過ごすようになる。自転車で街を駆けまわり、サマンサと共にようやく父親を探しあてたシリルだったが、父親の態度はすげない。そればかりか、「二度と会いに来るな」と言い放たれる。シリルが実の親に再び捨てられる姿を目の当たりにしたサマンサは、恋人との間に軋轢を生んでしまうほど、これまで以上にシリルと真摯に向き合い始める、と。
そうなんです、配役はシリルと、サマンサとそしてシリルの父親の3人だけ、と言っても言い過ぎではありません。シリルの父親役が、上で述べたジェレミー・レニエなんですが、実の息子に「帰れ、もう来るな」と追い返すという、鬼のような非情な父親役なんです。そう言わざるを得ない事情があるのでしょうが、詳しくは描かれません。
サマンサも過去に何があったかは詳しく語られませんが、現在の恋人ともシリルを選んだことで別れてしまう羽目に陥ります。
シリルが罠とは知らずに良くしてくれた不良に近づき、悪の道に陥りそうになります。サマンサの機転でなんとか逃れます。シリルはサマンサと出会ったことで、善悪を学び、人間として成長していきます。サマンサも、シリルと出会って母性を発揮し、シリルを守るという道を歩み始めます。ラスト、シリルとサマンサが、二人で自転車に乗り、ピクニックへ行くところがほほえましく、感動を呼びます。この作品は、監督が日本で聞いた「帰ってこない親を施設で待ち続ける少年」というエピソードから生まれた作品だという。
以下、とりあえずシネマトゥデイより引用しておきます。
チェック:ベルギーを代表する映画監督ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ兄弟が、第64回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した感動作。父親に捨てられ、心を閉ざした少年が一人の女性と出会うことにより、傷ついた心を少しずつ開きつつ成長していく姿をとらえる。主人公を新星のトマス・ドレが演じ、彼を温かく見守る女性を、『シスタースマイル ドミニクの歌』のセシル・ドゥ・フランスが好演する。本作で、カンヌ国際映画祭5作品連続主要賞獲得の快挙を成し遂げたダルデンヌ兄弟の実力に舌を巻く。
ストーリー:児童相談所に預けられたまま12歳になろうとしていた少年シリル(トマス・ドレ)は、いつか父親を見つけて一緒に暮らしたいと願っていた。ある日、彼は美容院を営むサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)と出会い、ごく自然に彼女と共に週末を過ごすようになる。二人は自転車に乗って街を走り回り、ようやくシリルの父親(ジェレミー・レニエ)を捜し出すが……。
「少年と自転車」公式サイト
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