川上弘美訳「伊勢物語」(河出文庫:2023年10月20日初版発行)を読みました。
伊勢物語は、清朝日本古典集成を持ってはいるが、ほとんど読んだ記憶がない。そうこうするうちに高樹のぶ子の「小説伊勢物語 業平」が出て、読んだ。解説本も出た。また、川上弘美の「三度目の恋」も読んだ。
それにしても、川上弘美の伊勢物語に関する仕事には、頭が下がる思いである。
伊勢物語に関連する本
引き込まれたのは、そこにある恋愛の逸話が、ごく短いにもかかわらず、恋愛の精髄を示したものだったからである。男がいて、女がいて、からだやこころの交わりがあって、好いて、飽きて、別れて、すがって、けれどかなわず、いや、時にはかない、そして・・・。
自分の書いた恋愛小説では、何百枚という原稿用紙を重ねて恋情やら何やらをあらわそうとしてきたけれど、伊勢物語の中では、数行の中に同じものがあらわされている。びっくりしたあとには、少しばかり気落ちした。数行で足りるんだ・・・。
でえも、どうして数行ぼっちに、これほどまでに恋愛のあれこれをこめることができるのだろう。(川上弘美「全集版あとがき」より)
ある貴公子の、めくるめく恋と人生
川上弘美の現代語訳でよみがえる!
流麗な和歌で知られる日本最古の歌物語
「男がいた。元服したばかりの男だった」。流麗な和歌とともに語られる、恋と友情、そして別離――。平安初期の哉文学を代表する傑作として名高い歌物語集が、作家・川上弘美による新訳で瑞々しくよみがえる。在原業平とされる貴公子を中心にした百二十五段の抗物語。解題=山本登朗
朝日新聞:2023年10月31日
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新潮日本古典集成
伊勢物語
渡辺実校注
昭和51年7月10日発行
校注者:渡辺実
発行所:株式会社新潮社