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100分de名著「アリストテレス ニコマコス倫理学」!

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10月の100分de名著は、「アリストテレス ニコマコス倫理学」です。

 

「アリストテレス」B.C.384~B.C.322

 

現実のうちに本質を求めるアリストテレスの哲学

 

アリストテレス略年譜

 

「ニコマコス倫理学」

 

 

プロデューサーAのおもわく

天文学、生物学、詩学、政治学、論理学、形而上学などあらゆる分野の学問の基礎を確立し、「万学の祖」と呼ばれる古代ギリシアの哲学者アリストテレス(前384- 前322)。そんな彼が「倫理学」という学問を史上初めて体系化し、その後の「倫理学」の「原点」となったともいえる名著が「ニコマコス倫理学」です。新生活がスタートしてまもない五月。「五月病」など職場や学校に適応できず人生に悩む人が多いこの時期に、「幸福」や「生き方」を深く考察するこの著作をわかりやすく読み解くことで、現代に通じるメッセージを掘り起こします。

アリストテレスは、幸福が人間がもっている本来の固有の能力を発揮することにあり、その能力を十全に発揮するためには、外的な幸運を生かすための内的な力である「徳(アレテ―)」を身につける必要があると考えました。この「徳」は一定の行動を何度も繰り返し習慣化することで、「性格」として身につけることができるといいます。いわば、彼の倫理学は、義務や禁止などの堅苦しいルールを学ぶ学問ではなく、人間が幸福になるための知の体系なのです。

ただし、この書物は単に偉大な哲学者の豊かな思索の跡を読者にたどらせてくれるだけではありません。現代において私たち一人ひとりが「よく生きる」「充実して生きる」ことを目指す際に活用できる豊かな洞察が散りばめられた書物でもあります。哲学研究者の山本芳久さんによれば、千年単位で受け継がれてきたこの名著のエッセンスを読み解いていくと、単に倫理の知識を学ぶにととまらず、読者の一人ひとりがそれぞれの人生において活用していくことのできる生きた知恵を学ぶことができるといいます。

番組では、山本芳久さんを指南役として招き、ギリシア哲学の名著「ニコマコス倫理学」を分り易く解説。アリストテレスの倫理学を現代につなげて解釈するとともに、そこにこめられた【幸福論】や【生き方論】、【友情論】などを学んでいく。

 

「フランチェスコ・アイエツ画『アリストテレス』」
アカデミア美術館(イタリア、ヴェネツィア

 

「アリストテレスの頭部像」
美術史美術館蔵(オーストリア、ウィーン)

 

第1回倫理学とは何か

 「ニコマコス倫理学」は、哲学史上初めて「倫理学」を体系化した書物である。「倫理学」と訳されているギリシア語は、語源的には、「人柄に関わる事柄」という意味である。どのような人柄を形成すれば幸福な人生、充実した人生を送ることができるのかを考察するのがアリストテレスの倫理学なのである。第一回は、「倫理学」とはどのような学問なのか、「倫理学」を学ぶことにはどのような意味があるのかを、「理論的学」と「実践的学」の区別というアリストテレスの学問論に基づいて明らかにする。

 
第2回 幸福とは何か

アリストテレスの倫理学は、「幸福」という古今東西の誰もが深く願うテーマを軸に展開している。だからこそ、二千数百年の時を超えて現代においても深く影響を与え続けているのだ。「幸福になりたい」という願望は誰もが抱くものだが、実際に「幸福」になるのは容易なことではない。真に幸福になるための地道で手堅い道筋を示しているのが『ニコマコス倫理学』なのである。第二回は、「義務」や「禁止」といった概念を軸にした堅苦しい倫理学(義務論的倫理学)ではなく、幸福な人生の実現へと読者を導いてくれる実践的な指南の書として『ニコマコス倫理学』の全体像に迫りつつ、「社会的生活」と「観想的生活」という、幸福な人生の二つの類型について明らかにしていく。

 
第3回「徳」と「悪徳」

アリストテレスの説く「幸福」は、単なる「幸運」とは大きく異なっている。幸運にも高額の宝くじに当選した人の中にも、堅実な人生の軌道から逸れ、「不幸」な人生を送ってしまう人もいる。「幸福」になるためには、外的な幸運を真に生かすための内的な力が必要なのだ。その力のことを、アリストテレスは「徳(アレテー)」と呼び、それが一定の行動を何度も繰り返し習慣化することで、「性格」として身についていくという。第三回は、勇気、節制、正義、賢慮といった、現代でもそのまま活用することができる様々な「徳」と、それに対立する「悪徳」を分類しつつ、「徳」を身につける方途を探っていく。

 
第4回「友愛」とは何か

人間は「社会的動物」であり、人間と人間との深いつながりなしには、幸福な人生は考えにくい。そのような人間同士の相互的な絆のことを、アリストテレスは「友愛(フィリア)」と呼んでいる。「人柄のよさに基づいた友愛」「快楽に基づいた友愛」「有用性に基づいた友愛」という友愛の三分類や、「友愛は、愛されることよりも、愛することにその本質がある」という愛の本質についての分析、自己愛と友愛の関係などなど、『ニコマコス倫理学』の友愛論は、「愛」について考察するための豊かな素材に満ちている。第四回は、人類の思想史のなかで最も有名な友情論と言っても過言でないアリストテレスの友愛論を紹介して、人間にとって、真の「友情」とは何か、真の「愛」とは何かに迫っていく。


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