坂牛卓の「教養としての建築入門 見方、作り方、活かし方」(中公新書:2023年7月25日発行)を読みました。
本書は、建築の勉強を志す初学者や建築をなりわいとする人、そして建築を見て楽しむ一般読者が、これ一冊を読めば誰でも「建築」について一通りのことがわかる、ということを目指した。(「まえがき」より)
名建築はなぜ格別なのか
「鑑賞」「設計」「社会」
三つのアプローチから堪能する入門書
美術館の意匠に感動し、憧れの旅館で心を癒す。名建築で過ごす時間はなぜ格別なのか。建築の見方と作り方を知れば、暮らしは快適になり、楽しみが増す。本書は、日本と西洋の建築史を一望し、観賞・設計・社会という三つのアプローチから建築を堪能する入門書。「機能」と「美」から分け入り、現代に至る建築の画期を読み解く。建築家の世界も惜しみなく紹介。あなたも建築通に。観光や街歩きの格好のガイドになる。
目次
まえがき
序章 建築の歴史
第一部 鑑賞論―建築の見方
第1章 機能の器
1 用・強・美(建築の三原理)
2 形態は機能に従う
3 建築の科学
第2章 美の器
1 美学的建築
2 建築を受けとる心の仕組み
3 美の拡張
第3章 アナロジー
1 人間と建築
2 服と建築
3 料理と建築
4 音楽・アートと建築
第二部 設計論―建築の作り方
第4章 建築の設計とは何か
1 三つの設計
2 意匠設計のメカニズム
第5章 頭の中で考える
1 理念を紡ぐ
2 課題を見つける
第6章 スケッチや模型で考える
1 形を考える
2 素材を考える
3 関係を考える
第7章 実物を見て考える
1 できつつあるもの
2 できたもの
第8章 建築家という職業
1 明治期の誕生
2 建築家になる道筋
3 建築家の見方
第三部 社会論―建築の活かし方
第9章 世相が建築に映る
1 時代
2 目標
3 社会の歪に対して
第10章 人や社会が建築を変える
1 人
2 社会
第11章 政治と経済が利用する
1 政治と建築
2 経済と建築
終章 建築の基礎
あとがき
図版出典
参考文献
坂牛卓:
1959年東京都生まれ.米カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学院修了.東京工業大学大学院修了.博士(工学).日建設計,信州大学工学部教授を経て,東京理科大学工学部建築学科教授.O.F.D.A.associates主宰.主な作品に「長野県信用組合本社ビル」,「するが幼稚園」,「リーテム東京工場」(第4回芦原義信賞),「松ノ木のあるギャラリー」(インターナショナル・アーキテクチャー・アワード2015),「運動と風景」(SD賞2017). 著書『建築の規則』(ナカニシヤ出版,2008),『建築の条件』(LIXIL出版,2017),『建築の設計力』(彰国社,2020),『会社を辞めて建築家になった』(フリックスタジオ,2023). 共訳書『言葉と建築』(エイドリアン・フォーティー,鹿島出版会,2005), 『人間主義の建築』(ジェフリー・スコット,鹿島出版会,2011),『白い壁、デザイナードレス』(マーク・ウィグリー,鹿島出版会、2021).