吉本ばななの「はーばーらいと」(晶文社:2023年6月25日初版)を読みました。
谷崎潤一郎賞受賞後第一作
吉本ばなな、面目躍如、なかなか読ませる小説でした。
「単なるラブストーリーとして読んでくださってもかまわないです」
と、「あとがき」に書いてますが、吉本ばなな、自信の表れですね。
若い頃に「ハネムーン」という小説で描いた問題を少し掘り下げて、宗教二世というものについて書いてみようと思った。あの銃撃事件(安倍元総理の)によってますますその気持ちが強くなった。大きなことや社会的なことではなく、そこにいたあことがある若い人たち個々の心の中になにが起きるのかということを。
彼女を好きだったのかもしれない、
と本気で思った。
でも、彼女はもうこの町にいない。
信仰と自由、初恋と友情、訣別と回復。
淡々と歌うように生きるさまが誰かを救う、
完全書下ろし小説。
あなたは賢い人だったから、私がどんな状況にいるのか、
わかってくれるはず。どうか、助けて。
助けてくれたらもう、一生感謝します。
すでにしているけれど、いっそう。
私の一生の感謝は、きっとすごく効くよ。(本文より)
吉本ばなな:
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年「ムーンライト・シャドウ」で第16回泉鏡花文学賞、89年「キッチン」「うたかた/サンクチュアリ」で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年「TUGUMI」で第2回山本周五郎賞、「不倫と南米」で第10回デゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年「ミトンとふびん」で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンデッシュメ文学賞<Under35>,99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に「吹上奇譚 第四話 ミモザ」がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。
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