金原ひとみの「デクリネゾン」(集英社:2022年8月30日第1刷発行)を読みました。
金原ひとみ、3月までで朝日新聞の書評委員をおやめになりました。僕は金原ひとみの書評を参考に、本を購入していた経緯があり、残念です。
さて、「デクリネゾン」、
半年前に約半分を読んで、その後あとの半分を最近読みました。
要約するのは難しい作品です。書きあぐねていた、というわけです。
あちこち探したのですが、適当な書評が見つかりません。
結局、「BOOKウォッチ」というところで探し当てました。
恋愛も家庭も仕事も、全部欲しい。金原ひとみが贈る、女の欲望と苦悩のフルコース
「デクリネゾン」とは、フランス料理で「さまざまな調理方法でひとつの食材を生かすこと」だ。たとえば「豚のデクリネゾン」なら、豚のさまざまな部位を使って、異なる食感や味を作り出す。
金原ひとみさんの最新長編『デクリネゾン』(ホーム社)の表紙には、まさにさまざまな部位に切り分けられた豚の生肉や、内臓を使ったソーセージの写真が使われている。これからデクリネゾンに仕上げられるのだろう。何やらものものしい調理器具もあり、思わずドキッとする見た目だが......作品の中身は血生臭くないのでご安心を。
本作が描くのは、恋愛・家庭・仕事の間で揺れ動く一人の女性だ。アラフォーシングルマザーの小説家・志絵は、中学生の娘の理子と二人で暮らしている。志絵はこれまで、理子の父である最初の夫・吾郎と、二番目の夫・直人との離婚を経験し、今は21歳の大学生・蒼葉と付き合っている。
年の差のある恋愛が鮮烈に映るが、母としての娘への思いや、家族のあり方も深く描かれる。さらに、小説家の仕事や出版業界のあれこれがリアルに描かれるのも見どころだ。志絵という一人の女性を通して、恋愛小説・家族小説・お仕事小説の各要素が全てたっぷりと楽しめる。
金原ひとみ:
1983年東京生まれ。2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞。04年、同作で第130回芥川賞を受賞。ベストセラーとなり、各国で翻訳出版される。10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を受賞。12年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。20年『アタラクシア』で第5回渡辺淳一文学賞を受賞。21年『アンソーシャル ディスタンス』で第57回谷崎潤一郎賞を受賞。他『パリの砂漠、東京の蜃気楼』、『ミーツ・ザ・ワールド』等がある。
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