国立近現代建築資料館で「原広司 建築に何が可能か」を観てきました。
行ったのは昨年、12月中旬のことでした。
2022年を締めくくる、素晴らしい展覧会でした。
僕は学生のころから原さんの大ファンで、佐世保の久田学園とか、佐倉市立下志津小学校など、初期の作品を観に行ったりもしました。
下に挙げた作品も、那覇市や内子町の作品と札幌ドーム及び住宅作品以外は、ほとんど観ています。JR京都駅もコンペの発表会に、京都まで行ったことを覚えています。
建築家・原広司は、東京大学で28年に渡り教鞭をとりながら、個人住宅から美術館や教育施設、さらに駅舎、高層建築、ドーム建築などの大規模建築に至るまで幅広く建築作品を創り出してきた。その中には、JR京都駅、大阪の新梅田シティ・スカイビル、札幌ドームなど世界的に著名なランドマーク作品も含まれる。
また原による数学、哲学、芸術をはじめとした多様な視点からの建築に関する思索は、日本の現代建築の発展を大きく牽引した。その代表である1967年の著書『建築に何が可能か』における「有孔体」と「浮遊」の思想に始まる原の思想は、その後、反射性住居、多層構造、機能から様相へ、集落の教え、離散的空間など多彩な建築概念に発展し、現代建築に計り知れない影響を与えた。加えて、他文化分野との交流にも大いに貢献し、一例をあげると、原が、友人である小説家・大江健三郎の故郷の愛媛県で設計した内子町立大瀬中学校は、大江健三郎の小説『燃えあがる緑の木』(1995年)の中に形を変えて登場する。
本展覧会では、近年、原広司+アトリエ・ファイ建築研究所から国立近現代建築資料館に寄贈が進められている建築資料群の中から、「有孔体」と「浮遊」というテーマの展開を示す図面とスケッチを、年代を追いながら展示。原広司作品の根源であるこの二つの発想が、住宅から大規模建築、都市に至るまで、いかに具現化し、発展したかという点に着目する。「思想:オブジェ、イメージ図、著作物」、「構想:スケッチ」、「実想:設計図面」という三つの「想」による展示を通し、原広司の思想と実体的建築の関係を解読するための場、独創的な建築デザインの背後にある思考や知的側面へと誘う。
主 催:文化庁
協 力:アトリエ・ファイ建築研究所、公益財団法人東京都公園協会
会 場:文化庁国立近現代建築資料館(東京都文京区湯島4-6-15 湯島地方合同庁舎内)
会 期:令和4年12月13日(火)~令和5年3月5日(日)
*12月26日(月)~1月4日(水)年末年始休館、毎週月曜休館(但、1月9日は開館し、1月10日休館)
時 間:10:00‐16:30
展覧会の構成は、以下の通りです。
1 有孔体と浮遊の思想の誕生 1960年代
2 反射性住居と世界の集落調査 1970年代
3 公共建築と様相論 1980年代
4 巨大建築での有孔体と浮遊の実現 1990年代
5 X コンペティションとイマジナリー
以下、「図録」より
「伊藤邸」1967年
「慶松幼稚園」1967年
「原邸(自邸)」1974年
「工藤山荘」1976年
「田崎美術館」1986年
「飯田市美術博物館」1988年
「ヤマトインターナショナル」1986年
「那覇市立城西小学校」1987年
「内子町立大瀬中学校」1992年
「新梅田シティ・スカイビル」1993年
「JR京都駅ビル」1997年
「宮城県図書館」1998年
「札幌ドーム」2001年
手持ちの原広司関連の本
「集落への旅」
岩波新書
1987年5月20日第1刷発行
著者:原広司
発行所:株式会社岩波書店
「住居に都市を埋蔵する」
1990年5月15日第1刷
著者:原広司
発行所:住まいの図書館出版局
発売所:星雲社
「集落の教え100」
1998年3月30日第1版発行
著者:原広司
発行所:株式会社彰国社
「建築に何が可能か」
1967年11月15日
著者:原広司
発行所:株式会社學藝書林
「空間<機能から様相へ>」
1987年3月24日第1刷発行
著者:原広司
発行所:株式会社岩波書店
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