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Channel: とんとん・にっき
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エーリヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」を読んだ!

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エーリヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」(新潮文庫:平成26年12月1日発行)を読みました。新潮文庫の「名作新訳コレクション」、というシリーズの中の一篇です。

 

「高橋源一郎の飛ぶ教室」というラジオ番組があります。

毎週金曜、“夜開く学校“として高い人気を誇るNHKラジオ番組です。

「高橋源一郎の飛ぶ教室 はじまりのことば」を読んだ!

 

高橋源一郎は、以下のように書いています。

「飛ぶ教室」は、どんな時代にあっても自由でいられる、そういう場所でありたいという願いをこめて、ケストナーがつけた名前でした。それから、自由であるだけではなく、楽しくなきゃ、という意味もあるのです。いや、さらにもうひとつ、世界のあらゆる場所に飛んでゆく、という意味もあるのだそうです。誰もが自由に生きられる、どんな世界へもあっという間に飛んで行ける教室。(・・・)これから、みなさんと、遥か遠くまで飛んでゆきたいと心の底から思います。

 

元気いっぱいの少年たちが学び暮らすギムナジウムにも、
クリスマス・シーズンがやってきた――。
その成長を温かな眼差しで描くドイツの文豪の傑作を新訳で。


まもなくクリスマス。街全体が楽しい雰囲気に包まれるなか、寄宿学校の少年たちは、波瀾万丈のクリスマス劇「飛ぶ教室」の稽古に励む。ある日、マルティンに母親から手紙が届く。そこには、マルティンがクリスマスに帰省する旅費を工面できなかったと書かれていた……。
たとえ運が悪くても、元気を出せ。打たれ強くあれ――温かなメッセージが込められた、少年たちの成長の物語。


目次

第一の前書き
ケストナー家において母と息子が論争すること ツークシュピッツェの峰をながめることの効用について ゴットフリートという名の蝶(ちょう)のこと 白黒ブチの猫のこと 万年雪につき少々 協調性あふれる店じまい、並びに仔牛(こうし)が雄牛になることの正当なる指摘

第二の前書き
緑の鉛筆の喪失のこと 子どもの涙の偉大さについての注釈 幼いヨーナタン・トロッツの大航海 祖父母が出迎えにこなかったことの理由について 人間の打たれ強さへの賛美、並びに勇気と知恵を合わせもつことへの強い要請

第一章
壁をつたう者 ダンスに励む人々のこと ピカ一の秀才、憤然と怒る 大きな白いつけひげの話 「飛ぶ教室」の冒険についてのしかるべき報告 韻文つき舞台稽古(げいこ)、並びに予期せざる中断について

第二章
禁煙さんについて、よりくわしく 書き取りのまちがい三つの話 臆病(おくびょう)に関するウーリの臆病な見解について 客車における作戦会議 フリドリンを偵察兵とし派遣すること どうしてクロイツカムが襲われたのか、並びに町へ向けての五人の持久走

第三章
フリドリンの帰還 ヨーロッパきってのたのしき秀才をめぐる対話 エガーラント夫人のさらなる腹立ち 徒歩による馬上の使者のこと 承服しがたい条件について 有用なる戦術、並びにさらに有用なる禁煙さんの提案について

第四章
テクニカル・ノックアウトで決着をみた決闘のこと 実業学校側の約束違反について エガーラントの魂の煩悶(はんもん) マルティン秘策を呈す 地下室における数発のビンタについて 一握(いちあく)の灰 勝利を許す、並びにエガーラントの引退のこと

第五章
いろおとこテオドールとの再会のこと 寄宿舎規則についての苛烈(かれつ)なる論争 はからざる賞讃(しょうさん) 適切なる罰について 舎監の相当長い話、並びに少年たちの陳述

第六章
六頭立ての馬車の絵について 古くさい機知を大いによろこぶ バルドゥインなる名前のこと 水っぽい不意打ち 亡霊の大行進 かゆみの粉をまく怪物について 窓辺のジョニー、並びに将来の計画のこと

第七章
クロイツカム先生点描 身の毛のよだつ事件について 少年たちが五回書かなくてはならなかった文章のこと 休み時間における謎(なぞ)の予告 ベク先生をともなった散歩のこと 市民農園での再会、並びに柵(さく)のもとでの固い握手

第八章
クッキーの大盤振舞 「飛ぶ教室」のさらなる舞台稽古(げいこ)について ウーリはなぜ傘を持参したか 運動場、および校舎の興奮 ベク先生の慰め、並びに第三音楽室のこと

第九章
臆病(おくびょう)をめぐるゼバスティアンの原理的究明 代役を使うこと 病室の隠密(おんみつ)的訪問 「骨までおしゃぶり」亭と麗(うるわ)しき夕食 郵便集配人との遭遇、並びにマルティンの便りについて

第十章
休暇前の最後の授業のこと キルヒベルク散歩と何人かとの出会い マティアスともう一枚のチョコレート 体育館におけるクリスマス祝い 予期せざる観客のこと 贈り物と答礼、並びにマルティンのベッドのそばの一瞬

第十一章
ごった返しの駅のこと 生徒のいない学校のこと 野外ボーリング場で何を見つけたか 教師、こっそり柵(さく)を乗りこえること ウーリの見舞い客 子は親を選べないことをめぐるジョニーの主張、並びに二度にわたるやむをえざる嘘(うそ)について

第十二章
多くの立派なクリスマスツリーと一つのちっぽけなトウヒについて 一つ四ポンドの重さのオレンジのこと 涙とどめあえず 二度鳴った玄関のベル いちどに泣きかつ笑うことについて 新しい色鉛筆とその使いぞめ ヘルムスドルフの夜間ポスト、並びに流れ星について

後書き
乗合バスと路面電車のこと クジャクチョウのゴットフリート、またエドゥアルトという名の仔牛(こうし)をめぐる、いともせつない思い出 はからずもジョニー・トロッツと船長に出会うこと 道理さんと禁煙さんにくれぐれもよろしく そしてこの本の終わり

訳者あとがき――七つの顔の男

エーリヒ・ケストナー Kastner, Erich(1899-1974)
ドイツの詩人・小説家。ドレスデン生れ。1929年に発表した『エミールと探偵たち』で児童文学作家として知られるようになる。ファシズムへの批判、自由主義的な作風により、ナチスによって迫害を受け、1933年発表の『飛ぶ教室』を最後にドイツ国内での出版を禁じられ、著作の焚書処分を受ける。第二次世界大戦後は、西ドイツのペンクラブ会長を長く務めた。1960年、国際アンデルセン賞受賞。著書に『ふたりのロッテ』『わたしが子どもだったころ』などがある。

池内紀:
1940(昭和15)年兵庫県姫路市生れ。ドイツ文学者。翻訳、評論をはじめ、エッセイ、人物列伝、演芸・歌舞伎論など、執筆範囲は多岐にわたる。訳書に『カフカ短篇集』、『ファウスト』(毎日出版文化賞)、著書に『二列目の人生』、『恩地孝四郎』(読売文学賞)、『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)などがある。
 


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