弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住む里枝には、二歳の次男を失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って、14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に、「大祐」が全くの別人だという衝撃の事実がもたらされる…。
こういうのをミステリー小説というのだろうか?あるいは推理小説というのだろうか?ウィキペディアによると「アンチ・ミステリー」とは、推理小説でありながら、推理小説であることを拒む、という一ジャンルだという。なるほど、「ある男」は強いて分類すれば、「アンチ・ミステリー」にあたるように僕は思います。だからどうということではないのですが…。
宮崎県の中心部の誠文堂文具店の里枝、そして杉の木の下敷きになって享年39歳で亡くなった夫谷口大祐、その二人のラブストーリーかと思いきや、そうではなく、死後訪れた大祐の兄恭一が、遺影を見てこれは大祐ではないと言うので、調査を依頼した弁護士の城戸章良と里枝が、恋愛関係に発展するのかと思いきやこれも異なり、大祐がなりすましていた実在の他人から、次々に戸籍を交換して他人になりすましていたことが判明する男たちの話が、主たる物語のテーマになっていきます。つまりは推理小説、ということで…。僕はあまり、この種の推理小説には興味を持てません。あまりにあり得ない、作り話過ぎていたので…。たしかにキャッチ―の「愛したはずの夫はまったくの別人だった」は、興味を引くものではありましたが…。
解説:
第70回読売文学賞を受賞した芥川賞作家・平野啓一郎の同名小説を「蜜蜂と遠雷」の石川慶が映画化。弁護士の城戸章良は、谷口里枝から亡き夫・大祐の身元調査という奇妙な依頼を受ける。不慮の事故で命を落とした大祐が、実は別人だったというのだ……。出演は「唐人街探偵 東京MISSION」の妻夫木聡、「万引き家族」の安藤サクラ、「劇場版ラジエーションハウス」の窪田正孝。
あらすじ:
弁護士の城戸章良(妻夫木聡)は、かつての依頼者である谷口里枝(安藤サクラ)から奇妙な相談を受ける。亡くなった夫・大祐(窪田正孝)の身元調査を頼みたいと言うのだ。里枝は離婚を経験後、子どもを連れて故郷に戻り、やがて出会った大祐と再婚。新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築くが、ある日突然、大祐が不慮の事故で命を落としてしまう。悲しみに暮れる中、大祐の法要の日、長年疎遠だった大祐の兄・恭一(眞島秀和)が現れる。ところが、恭一は遺影を見て“これ、大祐じゃないです”と言い放ったのだ。愛したはずの夫・大祐が、まったくの別人だった……。“ある男”の正体を追う中で、様々な人物と出会い、衝撃の真実に近づいていく城戸。いつしか彼自身の中にも、他人として生きた男への複雑な思いが生まれていく……。
朝日新聞:2022年11月18日
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ブログを始める前に、以下の本を読んでいます。
「一月物語」、「高瀬川」、「日蝕」、「葬送」など。