斎藤幸平の「ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた」(KADOKAWA:2022年11月2日初版発行)を読みました。
僕が斎藤幸平を知ったのは、2021年新書大賞第1位の「人新世の『資本論』」を読んだことによります。これがなかなか難しい。その後(あるいは前か?)、NHKの100分de名著で「カール・マルクスの資本論」の放送を観て、そして同じく100分de名著で「パンデミックを超えて」でジジェクを紹介していたのを観ました。「大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝」は購入しましたが、まだ読んでいません。テレビで観るとなかなかの好青年で、話し方も分かりやすく解説していて、いっぺんにファンになってしまいました。
本書は、毎日新聞の文化面で2020年4月から2022年3月にわたって連載された「斎藤幸平の分岐点ニッポン」を書籍化したもの。
経済ってなんだ? 社会ってなんだ?
いつでも問い直すことが新たな知を産み世界を変える。
気鋭の研究者が日本全国をめぐり、体験し、考えた!
理論の重要性を信じ、理論と実践とは
対立しないと考えるからこそ、
私の方がもっと実践から学ばなければいけない。
(「まえがき」より)
斎藤幸平、現場で学ぶ。
うちに閉じこもらずに、他者に出会うことが、「想像力欠乏症」を治すための方法である。だから、現場に行かなければならない。現場で他者と出会い、自らの問題に向き合って「学び捨てる」ことが、新しい人々とのつながりを生み、新しい価値観をつくり出すことにつながる。その小さな変化が誰もがもう少し生きやすい社会を作ることにつながっていく。それって素晴らしいし、実際やってみると楽しいこともたくさんある。だとしたら、やるしかない。(「学び、変わる 未来のために あとがきに代えて」より)
理不尽に立ち向かう人、困っている人、明日の世界のために奮闘する人――統計やデータからは見えない、現場の「声」から未来を考える。
目次
第一章 社会の変化や違和感に向き合う
ウーバーイーツで配達してみた
どうなのテレワーク
京大タテカン文化考
メガヒット、あつ森をやってみた
5人で林業 ワーカーズコープに学ぶ
五輪の陰
男性メイクを考える
何をどう伝える? 子どもの性教育
第二章 気候変動の地球で
電力を考える
世界を救う? 昆虫食
未来の「切り札」? 培養肉
若者が起業 ジビエ業の現場
エコファッションを考える
レッツ! 脱プラ生活
「気候不正義」に異議 若者のスト
第三章 偏見を見直し公正な社会へ
差別にあえぐ外国人労働者たち
ミャンマーのためにできること
釡ケ崎で考える野宿者への差別
今も進行形、水俣病問題
水平社創立100年
石巻で考える持続可能な復興
福島・いわきで自分を見つめる
特別回 アイヌの今 感情に言葉を
斎藤幸平:
1987年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。「Karl Marxs Ecosocialism」邦訳「」大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝」角川ソフィア文庫)によって権威あるドイッチャー記念賞を日本人初、歴代最年少で受賞。同書は世界9ケ国語で翻訳刊行されている。日本国内では、晩期マルクスをめぐる先駆的な研究によって日本学術振興会賞受賞。「人新世の『資本論』」(集英社新書)で新書大賞021を受賞。
以下、斎藤幸平関連する書籍
別冊NHK100分de名著
「パンデミックを超えて」
「パンデミック」「パンデミック2」
スラヴォイ・ジジェク
斎藤幸平
NHK100分de名著
カール・マルクス 資本論
斎藤幸平
「人新世の『資本論』」
集英社新書
2020年9月22日第1刷発行
2021年9月27日第16刷発行
著者:斎藤幸平
発行所:株式会社集英社
「大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝」
角川ソフィア文庫
令和4年10月25日初版発行
著者:斎藤幸平
発行:株式会社KADOKAWA
(これはまだ読んでいません)