展覧会概要
ドイツ第4の都市、ケルン市が運営するルートヴィヒ美術館は、20世紀から現代までに特化した世界有数の美術館です。その優れたコレクションは、市民からの寄贈をもとに形成されてきました。本展覧会では、館名に名を冠するルートヴィヒ夫妻をはじめとするコレクターたちに焦点を当て、ドイツ表現主義や新即物主義、ピカソ、ロシア・アヴァンギャルド、ポップ・アートなど、絵画、彫刻、写真、映像を含む代表作152点をご紹介します。
ルートヴィヒ美術館は、ドイツ第4の都市であるケルン市が運営する、20世紀から現代までの美術作品を収集・紹介する美術館です。古来、ライン河沿いの交通の要衝として発展してきたケルンは、世界最大のゴシック建築であるケルン大聖堂、ヨーロッパ最古の大学の一つであるケルン大学ほか、数多くの美術館、博物館を擁する文化の薫り高い古都です。
ルートヴィヒ美術館は、ケルン大聖堂にも隣接したライン河畔に、1986年に開館しました。その構想は、美術コレクターとして名高いペーター&イレーネ・ルートヴィヒがケルン市に約350点の作品を寄贈した1976年に遡ります。また、同じくケルン市立のヴァルラフ=リヒャルツ美術館からは、ケルンの弁護士、ヨーゼフ・ハウプリヒが1946年に寄贈したドイツ近代美術のコレクションを含む1900年以降の作品が移管され、ルートヴィヒ美術館の基盤が整えられました。
今日、ルートヴィヒ美術館は、ヨーロッパで最大級のポップ・アートのコレクション、表現主義や新即物主義などのドイツ近代美術とその同時代のロシア・アヴァンギャルド、世界で3本の指に入るピカソのコレクションや、写真史を網羅する質量ともに優れた写真コレクション、そして世界各地の現代美術の収集により、国際的にも高く評価されています。
ルートヴィヒ美術館のコレクション形成に寄与したのは、市民コレクターたちでした。文化・芸術を愛し守り、次世代に継承しようとしたコレクターたちの未来への想いは、ルートヴィヒ美術館のコレクションや芸術活動の礎にもなっています。美術と社会のゆるぎない結びつきは、日本に生きる現在の私たちにとって示唆にあふれています。
美術史をたどる、100年の多様な表現ドイツ表現主義、新即物主義、キュビスム、ロシア・アヴァンギャルド、バウハウス、シュルレアリスム、ピカソやポップ・アート、前衛芸術から抽象美術、そして2000年代の美術まで、20世紀初頭から今日までの多様な表現をご紹介します。また、それぞれのセクションに挿入された写真コレクションは、時代の精神を生き生きと伝えています。女性作家たちのきらりと輝く表現作品にも注目ください。
時代が息づく珠玉の152点
20世紀前半のふたつの世界大戦と戦後の復興、東西の統一を経て、現在ではヨーロッパを牽引する国のひとつとなったドイツ。美術を通じて歴史が分かり、歴史のなかに美術が見えてくる展覧会です。人間と社会、そして歴史に迫る珠玉の152点をお楽しみください。
展覧会の構成は、以下の通りです。
序 章 ルードヴィヒ美術館とその支援者たち
Chapter1 ドイツ・モダニズム―新たな芸術表現っを求めて
Chapter2 ロシア・アヴァンギャルド―芸術における革命的革新
Chapter3 ピカソとその周辺―色と形の解放
Chapter4 シュルレアリスムから抽象へ―大戦後のヨーロッパとアメリカ
Chapter5 ポップ・アートと日常のリアリティ
Chapter6 前衛芸術の諸相―1960年代を中心に
Chapter7 拡張する美術―1970年代から今日まで
*Chapter1~4はその1へ
国立新美術館「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡 市民が創った珠玉のコレクション」その2
Chapter4 シュルレアリスムから抽象へ―大戦後のヨーロッパとアメリカ
Chapter5 ポップ・アートと日常のリアリティ
Chapter6 前衛芸術の諸相―1960年代を中心に
Chapter7 拡張する美術―1970年代から今日まで
Chapter1~4はその1へ
「国立新美術館」ホームページ