NHK100分de「パンデミックを超えて」のなかで、小川公代さんが、ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」を取り上げて、熱く語っていました。その熱が冷めないうちに、録画してあった映画「めぐりあう時間たち」を観直しました。それにしても三人の大女優の饗宴、長く語り継がれる映画です。
過去に書いたブログです。手を加えず、まったくそのまま再掲します。
(画像のみ、大きくしました)
1923年、ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)は夫とともに、ロンドン郊外の田舎へ移り住む。静かな暮らしのなか、ヴァージニアは新作「ダロウェイ夫人」を書き始め、午後には姉とのティー・パーティが控えています。1951年、ロサンゼルス。「ダロウェイ夫人」を読む妊娠中の主婦、ローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)は、夫の誕生パーティを祝うため、息子とともにケーキを焼きます。そして2001年のニューヨーク。「ダロウェイ夫人」と同じ名前を持つ編集者のクラリッサ(メリル・ストリープ)は、エイズに冒された詩人の友、リチャードが、名誉ある賞を受けた記念のパーティを企画します。それぞれの時代、それぞれの時間に生きる3人の女性は、やがてヴァージニア・ウルフの著書「ダロウェイ夫人」で結びついていきます。
「めぐりあう時間たち」は、ピューリッツァー賞とペン/フォークナー賞をダブル受賞した作家、マイケル・カニンガムのベストセラーを原作とする、心に響く人間ドラマです。ハリウッドの3大女優、ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープが、異なる3つの時代を生きた3人の女性を演じたことで、大いに話題になりました。それそれ異なる時代設定であったため、彼女たちは撮影中は一度も顔を合わせなかったという。ヴァージニア・ウルフを演じた二コール・キッドマンは、アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞します。日本公開は2003年、僕はシネスイッチ銀座で観ました。その時は超満員、通路の横の階段に座って窮屈な姿勢で観ました。なぜかその時、観客全員に新発売のアイスクリームが配られました。
この映画、つい先日NHK・BSで再び観ました。ヴァージニア・ウルフの衝撃的な入水シーンから始まります。実は僕の理解力のなさで、映画館で観たときには、よく物語の筋が分からなかったのですが、今回観て3つの時代に生きる3人の女性の物語だということがやっと分かったという始末。偶然にも、新しく8月25日に発売された集英社文庫の丹治愛訳「ダロウェイ夫人」を購入してあり、「文庫本あとがき」の部分を読んでいました。そこにこの映画との関連で、興味深いことが書いてありました。
「ダロウェイ夫人」の冒頭の一文を、(もちろん、英文ですが)「ダロウェイ夫人は、自分で花を買ってくると言った」という間接話法的な個所を、訳者は「ミセス・ダロウェイは、お花はわたしが買ってくるわ、と言った」と直接話法的に訳した、ということ書いてありました。この個所は映画の中でも何度か出てきました。またダロウェイ夫人の名前が、クラリッサ・ダロウェイであることも。ヴァージニア・ウルフのモダニズム小説の代表作「ダロウェイ夫人」、400ページもある本なので、いつ読み終えるか分かりませんが、「めぐりあう時間たち」を観たことで、読み出せばすらすら読めそうな気がしてきました。
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