三嶋輝夫の「和辻哲郎 建築と風土」(ちくま新書:2022年3月10日第1刷発行)を読みました。
和辻哲郎、といえば「風土」ですね。大学に入学して最初の必読書は、この「風土」でした。が、しかし、和辻が建築論をこんなに多く書いていたことは、今回、初めて知りました。特に第5章の、「桂離宮」についての丁々発止のやり取りは、なかなかスリリングで面白かったところです。
「桂離宮」を見学した時(1992年12月)のスライドが未整理のまま残っているので、なんとか整理しておきたいと思っています。
また、井上章一の「つくられた桂離宮神話」、どこを探しても見つからない。講談社学術文庫から出ているので、アマゾンで購入しました。近いうちに読んで(再読)ブログにアップしたいと思います。
目次
はじめに
第1章 間柄と建築―『風土』における「ウチ」の分析
1.台風的性格
2.「間柄」と「家」―「ウチ」の分析
3.家と町の間
第2章 天平の甍―『古寺巡礼』と唐招提寺論
1.「屋根の勾配」と「縁側の工合」
2.パースペクティヴとアイティオロジー
第3章 建築と風土―『イタリア古寺巡礼』と素材への注目
1.マルセーユとジェノア
2.ローマ
3.ペストゥーム
4.タオルミーナ、シラクーサ、アグリジェント
第4章 アルプスの北―『故国の妻へ』とドイツの建築
1.ゴスラー
2.ローテンブルク
第5章 面と線の美学―『桂離宮』をめぐって
1.日光廟と桂離宮
2.「桂離宮印象記」
3.「桂離宮―製作過程の考察」
4.批判と応答
5.「桂離宮―様式の背後を探る」
おわりに
参考文献
あとがき
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三嶋輝夫:
1949年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学研究科卒業。東京大学大学院人文科学科研究科博士課程単位取得退学。早稲田大学芸術学校建築設計科卒業。東京大学文学部助手、青山大学専任講師・助教授を経て、青山大学文学部教授を長く務めた。専門は倫理学・ギリシャ哲学。著書に「ソクラテスと―彼らは堕落させられたか」(春秋社)、「規範と意味―ソクラテスと現代」(東海大学出版会、「汝自身を知れ―古代ギリシャの知恵と人間理解」(NHKライブラリー)など。訳書にプラトン「ラケス」(講談社学術文庫)、「アルキビアデス/クレイトポン」(講談社学術文庫)など。