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石黒浩の「ロボットと人間 人とは何か」(岩波新書:2021年11月19日第1刷発行)を読みました。去年の暮れに購入したけれど、読みかけてはずっと積読状態でしたが、朝日新聞に「人も問われるロボット三原則」という記事が出て、大慌てで読み進み、やっと読み終わりました。
石黒教授とアンドロイドのツーショットは、世間を賑わせました。なにしろ石黒教授の顔はインパクトがあり、一目見て忘れられない風貌です。夏目漱石が学んだ二松學舍大学と大阪大学の共同研究プロジェクトで、夏目漱石アンドロイドが二松学舎大学がその費用を負担して開発したものです。
本の紹介には、以下のようにありました。
ロボットを研究することは、人間を深く知ることでもある。ロボット学の世界的第一人者である著者は、長年の研究を通じて、人間にとって自律、心、存在、対話、体、進化、生命などは何かを問い続ける。ロボットと人間の未来に向けての関係性にも言及。人と関わるロボットがますます身近になる今こそ、必読の書。
下の新聞にもある通り、ロボット三原則が有名です。それに加えて石黒教授は、アンドロイドの基本原則を、以下のように挙げています。
第1条 社会的人格を表現するものでなければならない。
第2条 社会に許容され難いプライベートな人格を再現してはいけない。
第3条 人々のポジティブな想像を引き出し、人々に対話できる偉人として、ポジティブな影響を与えるものでなければならない。
目次
プロローグ
人間への興味/ロボット学/ロボット研究と社会の期待/人と関わるロボットの普及/コロナ禍とロボット/リモート会議システムの問題点/遠隔操作ロボットへの期待/遠隔操作ロボットと自律ロボットの違い
1章 ロボット研究から学ぶ人間の本質
ジェミノイドの研究開発/アイデンティティとは何か/ロボット社会/なぜ人間型ロボットが必要なのか/知的システム実現のための構成的方法/ロボットを用いた人間理解の研究/知能/身体性/マルチモーダル統合/意図や欲求/意識/社会関係/ロボット開発のロードマップ/マルチモーダルチューリングテスト
2章 対話ロボットとロボット社会
対話サービスロボット/家庭内対話ロボット/ホテル対話サービスロボット/語学教師ロボット/高齢者用の対話サービスロボット/自閉症対話サービスロボット/レストラン対話サービスロボット/ロボット社会の実現
3章 アンドロイドの役割
アンドロイドとヒューマノイド/アンドロイドの構造/偉人アンドロイドの例/アンドロイドの製作方法/声と語り/アンドロイド製作における重要な問題/アンドロイドの基本原則/社会的人格とプライバシー/アンドロイドになることによる人間の進化
4章 自律性とは何か
人間の意図や欲求/サブサンプションアーキテクチャ/ロボットの意図や欲求/音声に伴う人間らしい動作/対話を続ける傾聴機能/間違いを正す機能/自律対話アンドロイド「エリカ」/マルチモーダルチューリングテストへの挑戦/選好モデルと人間関係/自律性の本質
5章 心とは何か
ロボットに感じる心/ロボット演劇「働く私」/アンドロイド演劇「さようなら」/アンドロイド演劇「変身」/心とは?
6章 存在感とは何か
アンドロイドに感じる存在感/不気味の谷/遠隔操作ロボット「テレノイド」に感じる存在感/対話ロボットのミニマルデザイン「ハグビー」/想像を引き出す二つのモダリティ
7章 対話とは何か
二体で対話するロボット「コミュー」/音声認識なし対話/意図認識なし対話/洋服を販売するアンドロイド/アンドロイドとのタッチパネル対話/人間どうしのタッチパネル対話/対話の本質
8章 体とは何か
遠隔操作アンドロイドへの操作者の適応/脳波による遠隔操作/脳とアンドロイドの体の繫がり/侵襲型ブレインマシンインターフェース/スマートフォンと脳/第三の腕/体の本質
9章 進化とは何か
進化における二つの方法/人間と技術の関係/人間は無機物から生まれて無機物に戻る/新たな人類の誕生/無機物の体によるカンブリア爆発
10章 人間と共生するロボット
スマートスピーカーの発展/命令する関係から共生する関係/自動運転の電気自動車と対話ロボット/対話ロボットが変える未来/アバターの研究開発/新たな社会問題/人間アバター・ロボット共生社会
エピローグ
未来を考える力/未来は自分で創るもの/ロボットを通して人間を考える/未来は可能性に満ちている
石黒 浩:
ロボット工学者。大阪大学基礎工学研究科博士課程修了。工学博士。京都大学情報学研究科助教授、大阪大学工学研究科教授を経て、2009年より大阪大学基礎工学研究科教授(栄誉教授)。ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。遠隔操作ロボットや知能ロボットの研究開発に従事。人間酷似型ロボット(アンドロイド)研究の第一人者。2011年大阪文化賞受賞。2015年文部科学大臣表彰受賞およびシェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム知識賞受賞。2020年立石賞受賞。2021年オーフス大学名誉博士。
著書には、『ロボットとは何か──人の心を映す鏡』(講談社現代新書)、『どうすれば「人」を創れるか──アンドロイドになった私』(新潮文庫)、『僕がロボットをつくる理由──未来の生き方を日常からデザインする』(世界思想社)ほかがある。
遠隔操作アンドロイド「ジェミノイド」
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アンドロイド「エリカ」
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夏目漱石アンドロイド(二松學舎大学)
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朝日新聞:2022年4月17日
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読み易いように大きくしました。
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