小川格の「日本の近代建築ベスト50」(新潮新書:2022年1月20日発行)を読みました。
建築は、時代と人々を映す鏡である――日本で近代建築が始まって約100年。この間、数多くの建築が作られ、また破壊・解体されてきた。本書では、半世紀以上にわたり専門誌・書籍の編集に携わってきた著者が、ル・コルビュジエから丹下健三、磯崎新や隈研吾まで、現存するモダニズム建築の傑作50を選び、写真やエピソードとともに徹底解説。戦前から戦後の高度成長期、さらに現代まで流れる建築思想をたどる。
建築家ならあちこち観て歩いているので、一度は自分が観た建築をまとめておきたいと思ったことがあると思います。が、しかし、諸般の事情で、また怠惰のせいで手を付けずに至り、忸怩たる思いをしていることでしょう。
僕自身、この本に取り上げられている建築は、知っているものばかりですが、ただ一つ、「カップ・マルタンの休暇小屋(レプリカ)」は知らなかった。もちろん、ル・コルビュジエの「休暇小屋」はコルビュジエ全集などで知っていましたが、まさかsのレプリカが日本にあるとは、驚きました。単なる小さな小屋ですが…。
知ってはいるものの、僕がまだ見ていない建築もあります。まあ、遠隔地にあるものですが…。菊竹清訓の「東光園」とか、村野藤吾の「世界平和記念聖堂」とか、Team Zooの「名護市庁舎」、あと2~3ありますが…。
目次
まえがき
第一章 近代建築の初心――戦前と一九五〇年代の建築
1 自由学園明日館 フランク・ロイド・ライト
2 小菅刑務所 蒲原重雄
3 軽井沢聖パウロカトリック教会 アントニン・レーモンド
4 ヒアシンスハウス 立原道造
5 前川國男自邸 前川國男
6 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム(旧神奈川県立近代美術館) 坂倉準三
7 旧井上房一郎邸(レーモンド自邸写し) アントニン・レーモンド
8 カップ・マルタンの休暇小屋(レプリカ) ル・コルビュジエ
9 山口蓬春の画室 吉田五十八
10 世界平和記念聖堂 村野藤吾
11 神奈川県立音楽堂・図書館 前川國男
12 広島平和記念資料館 丹下健三
13 碌山美術館 今井兼次
14 香川県庁舎 丹下健三
15 旭川市庁舎 佐藤武夫
16 国立西洋美術館 ル・コルビュジエ
第二章 近代建築の開花と成熟――一九六〇年代の建築
17 東京文化会館 前川國男
18 群馬音楽センター アントニン・レーモンド
19 日本二十六聖人記念聖堂 今井兼次
20 アテネ・フランセ 吉阪隆正
21 日本生命日比谷ビル・日生劇場 村野藤吾
22 国立代々木競技場 丹下健三
23 東京カテドラル 丹下健三
24 東光園 菊竹清訓
25 香川県文化会館 大江 宏
26 大学セミナーハウス 吉阪隆正
27 アートプラザ(旧大分県立大分図書館) 磯崎 新
28 目黒区総合庁舎(旧千代田生命保険本社) 村野藤吾
29 パレスサイドビル 日建設計(林 昌二)
30 埼玉会館 前川國男
31 猪股邸 吉田五十八
第三章 近代建築を超えて――一九七〇年代以降の建築
32 ヒルサイドテラス 槇 文彦
33 中銀カプセルタワービル 黒川紀章
34 ノアビル 白井晟一
35 群馬県立近代美術館 磯崎 新
36 熊本県立美術館 前川國男
37 金沢市立玉川図書館・近世史料館 谷口吉郎+谷口吉生
38 進修館 象設計集団
39 松濤美術館 白井晟一
40 名護市庁舎 Team Zoo(象設計集団+アトリエ・モビル)
41 国立能楽堂 大江 宏
42 つくばセンタービル 磯崎 新
43 湘南台文化センター 長谷川逸子
44 京都駅 原 広司
45 法隆寺宝物館 谷口吉生
46 馬頭広重美術館 隈 研吾
47 せんだいメディアテーク 伊東豊雄
48 金沢21世紀美術館 妹島和世+西沢立衛/SANAA
49 表参道ヒルズ 安藤忠雄
50 十和田市現代美術館 西沢立衛
あとがき
参考文献
建築家とその作品