朝日新聞:2021年11月9日
レッサー・ユリィ「夜のポツダム広場」
朝日新聞:2021年11月9日
繁華街なのに、なぜ物憂げ
雨にぬれた路面が光を反射し、まばゆいほどに輝いている。描かれているのは、ドイツの首都ベルリンのポツダム広場。・・・この絵は夜の街の華やかさとは距離を取り、どこか寂しげだ。三菱一号館美術館の安井裕雄・上席学芸員は「画面全体に、アンニュイな(物憂げな)情感が漂っている。行き交う人々も着飾った姿ではなく、シルエットで描かれている。感傷的だが、画家の視線は視線は少し冷めてもいる」とみる。
路面の光の反射も、よく見ると妙なところがある。画面の左側では、実際の建物の照明よりも反射光の方がずっと明るい。安井さんは「ユリィは人工照明の反射光に強い関心を示していた。この絵を画家の心象風景と見ることもできる」と話す。
三菱一号館美術館にて
「イスラエル博物館コレクション展 印象派・光の系譜」
Ⅲ 都市の情景
注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
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