100分de名著「ヘミングウェイスペシャル 老人と海 敗れざる者 移動祝祭日」の第1回目と2回目の放送を観ました。あと2回、続きます。
実はアメリカ文学の巨匠であるヘミングウェイの作品、恥ずかしながら1冊も読んだことがありません。もちろん、「老人と海」とか「武器よさらば」とか、タイトルだけは知ってはいますが、読んだことがない。そもそも僕は、アメリカ文学は、読んだことがあるのはほんの数冊しか読んだことがない。今思い出すのは、フィリップ・ロスの「さよならコロンバス」とか、エリカ・ジョングの「飛ぶのが怖い」とか。もう、ほとんど内容は覚えていません。100分de名著「ヘミングウェイスペシャル 老人と海 敗れざる者 移動祝祭日」、遅まきながら、勉強するのにいい機会です。
第1回 10月4日放送
大いなる自然との対峙
~「老人と海」①~
第2回 10月11日放送
死闘から持ち帰った不屈の魂
~「老人と海」②~
第3回 10月18日放送
交錯する「生」と「死」
~「敗れざる者」~
第4回 10月25日放送
作家ヘミングウェイ誕生の軌跡
~「移動祝祭日」~
100分で名著:ヘミングウェイスペシャル
プロデューサーAのおもわく
「死」「暴力」「老い」「孤独」……私たち人間が逃れようとしても決して逃れない厳しい生の条件を見つめ、透明で簡潔な文体を駆使して、人生の悲喜劇を真っ向から描き続けた作家・ヘミングウェイ(1899-1961)。「武器よさらば」「誰がために鐘は鳴る」といった作品群は、今も多くの人たちに読み継がれています。今回は、中でもヘミングウェイの魅力が凝縮しているといわれる中短編の傑作「老人と海」「敗れざる者」「移動祝祭日」をセレクトし、「生とは?」「老いとは?」、そして「人間とは?」といった奥深いテーマをあらためて見つめなおします。
第一次世界大戦の戦場で赤十字の運搬車要員として働いた後、新聞記者を経て作家へと転身したヘミングウェイ。死と隣り合わせの戦場で得た体験とジャーナリズムの中で培われた簡潔な文体は、初期短編集や「日はまた昇る」といった傑作を生みだし彼は一躍時代の寵児となりました。その後、過酷な生の現実が炙り出されるようなスペイン内戦参加等を経て、キューバに移住した後も執筆活動を続け、集大成ともいえる代表作「老人と海」を世に送り出します。掲載誌「ライフ」は48時間内に530万部を売り上げ、その後ノーベル文学賞を受賞することに。名実ともに世界的な作家となり栄光の只中にいたヘミングウェイでしたが、事故の後遺症と鬱病を苦に猟銃自殺を遂げました。
そんなヘミングウェイは、生涯を通じて執筆し続けた作品を通して、何を描き出そうとしたのでしょうか。彼自身体験してきた死と隣り合わせの過酷な現実に対して、敢然と立ち向かう人間の姿を描くことで、どんな状況にあっても朽ちることのない人間の尊厳を私たち読者に伝えようとしたのではないかと、アメリカ文学者の都甲幸治さんはいいます。
番組では、ヘミングウェイの代表作3冊に現代の視点から光を当て直し、そこにこめられた【人間論】や【死生観】【小説表現の奥深い可能性】など、現代の私達にも通じる普遍的なテーマを読み解いていきます。
第1回 大いなる自然との対峙 ~「老人と海」①~