藤森照信の「茶室五庵」
残念ながら実物は観られませんでした。
展示はオリンピック・パラリンピックの会期中だけ。
場所は国立競技場の前。一番混雑が激しい場所で期間です。
これでは観ないでくれと同じです。
以下、藤森照信のブログから
私は高いのが好きなんです。茶室自体が周りからよく見え、そこからさらに競技場を見る。お茶室っていうのは別世界性が必要なんですよ。地上にあるより、やっぱり高さが必要で、高いところに登って、狭くて暗いにじり口から上がっていくと、景色が違って見える。この効果は茶室ならではのものです。(藤森照信)
茶室「五庵」/設計:藤森照信〈本プロジェクト案〉
藤森照信の「茶室五庵」
藤森照信(1946年〜)は自然と一体となった建築を作り続けており、この茶室「五庵」では基壇を芝が覆っています。上部の外壁に用いられている焼杉は、杉材の表面を焼いて炭化させたもので、表面の炭化層が板の劣化を防ぎ耐火性を高くします。
1階の待合に入り、梯子で2階の茶室に上がると、大きな窓から新国立競技場が見えます。梯子は「にじり口」の再解釈で、暗くて狭い場所を通り、茶室という別世界に移動させる機能を持ちます。歴史家としての膨大な知識に裏付けされた「どこにもない」建築が藤森作品の魅力です。
藤森照信は、日本を代表する建築史家であるとともに、45歳で建築家としてデビューした異色の存在です。代表作に「ラ コリーナ近江八幡」の「草屋根」、「銅屋根」、「多治見市モザイクタイルミュージアム」などがあります。新国立競技場の斜向かいに建つ茶室「五庵」は、これまで藤森が数多く作ってきた茶室の最新作です。
茶室制作: 川本英樹(川本家具製作研究所)
基壇実施設計:大嶋信道(大嶋アトリエ)
基壇施工:宮嶋孝秀(株式会社 宮嶋工務店)
緑化施工:大林武彦(株式会社 大林環境技術研究所)
茶室仕上げ材(銅板、焼き杉、漆喰)制作施工協力:工学院大学大内田史郎ゼミ
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