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「フランシス・ベーコンの秘密 バリー・ジュール・コレクション」その2

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2021年5月23日放送 NHK日曜美術館

「フランシス・ベーコンの秘密 バリー・ジュールコレクション」より

(以下、個人的な備忘録です)

 

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「フランシス・ベーコンの秘密 バリー・ジュール・コレクション」

その2

 

・・・神奈川県立近代美術館葉山館 2021年1月

 

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日本で初めて公開される秘蔵コレクション、展覧会を誰よりも待ち望んでいたアーティストがいます。写真家、レスリー・チャン。シンガポール出身のレスリー、光に満ちた華やかな写真で世界を舞台に活躍。

 

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自らのセクシャリティがゲイであることを公表し、昨年パートナーのジョシュアと結婚しました。

 

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ベーコンが亡くなった頃に私が初めて日本に来た一番若い頃に、神保町の本屋で見たフランシス・ベーコンに影響されていました。ベーコンの作品を見て、自分がすごく自然に見えることを知り、ある運命を感じました。自分の人生をかけて作品を作って残すアーティスト、私には魅力的に見えました。

 

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コレクションに対面する日が来ました。2月15日。

「この水、大雨の中、ベーコンのペイントみたいに色が飛んでいく」。

 

まず訪れたのは油絵の部屋、・・・1930年代の油彩画。

独特な画風で本格デビューする前、20代初めに描かれた作品、「無題」。

 

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ベーコンは生前、全てを処分したと話しています。

 

入口に一枚の絵が飾られています。「自画像」。

ベーコンの死から4年後、ジュール・コレクションの存在が初めて公になった時、真っ先に公開されたコレクションを象徴する一枚です。

 

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ピカソと並ぶ20世紀最も重要な画家と言われるベーコンの未公開作品の発見は大きなニュースとなり、美術界は沸き立ちました。

 

・・・フランシス・ベーコンの秘密の名画を世界初公開。

・・・ベーコンの驚くほどの豊かな才能がある。

しかし、おどろおどろしさとは無縁の絵に、関係者からは本当にベーコンが描いたのか疑問の声も上がりました。

 

・・・宣誓供述書

こうした中、ジュールは一枚の供述書を作ります。 アトリエの向かいに勤める女性が、ベーコンがジュールの車に作品を入れるのを見たとの証言でした。

 

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これに対し、ベーコンの遺産相続人は、ジュールに作品を返すよう求めました。しかし、その後、訴えを取り下げています。

 

・・・フランシス・ベーコン・エステート

今回、ベーコンの著作権を管理する団体に見解を求めたところ、次のような回答が返ってきました。「ジュール・コレクションは、ベーコン以外の誰かが作ったと信じている」。

「本物と認めていない作品と一緒に番組の中でベーコンの作品を使うことは認めない」。

 

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・・・フランシス・ベーコン展・葉山

 

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展覧会を企画した神奈川県立近代美術館に聞きました。

神奈川県立近代美術館:水沢勉館長

 

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「やはり作家本人がそれをオーソライズするために死んでしまっているということが決定的ですよね。そうするとどうしても真実は見えにくくなる。そのことに対していろんな反応が起きた。でもそれはすごくある意味で反論自体を見ていくことも面白いことだ。あれほど生きている時から伝説だった人が死んだ。見せないものが見えてきた。それは何?と皆が思う。それは見る人によって見え方が違う。それは一流のアーティストであればあるほど、その部分は非常に複雑に反応を呼び覚まします。その経緯も含めてこの展覧会は興味深い展覧会だと思っています」。

 

・・・今も論議が続くジュール・コレクション。

レスリーの目にどう映ったのでしょうか。

 

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「うん、なんか原点がわかるね。顔のほうがもう少し鮮やかになるかもしれない。色合いがやっぱりこだわりがあるね。色彩はだいぶ最初から本人が持っている感性じゃないですか。くすんでいるようですけれど、鮮やかさはけっこうくすんでいるような気がする。なかなか難しい色ですね」。

 

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レスリーが色彩と共に注目したのが絵の中の線でした。

 

「もともと真っすぐな線と人間の形が混じっているのがここに見える気がする。どんどん後半のほうが人間の線がなくて、環境に線を書いたじゃないですか」。

 

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・・・スフィンクス、シュリエル、ベルチャー・・・

作風を確立した後のベーコンの絵では、レスリーが言うように、人物の周辺を線が囲っています。檻のように見える線、デビュー以前に描かれたとされるジュール・コレクションの絵には、後の作品に通じる線が描かれていました。

 

「私から見ると、刑務所みたい。一人一人が皆刑務所にいる人たちみたい。それはまるで社会の中で閉じ込められている」。

 

これらの絵を描いた頃、ベーコンは20代初め、独学で絵を描き始めて間もなくのことでした。

 

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彼の人生は、波乱に満ちています。厳格な父のもとアイルランドに生を受けたベーコンは、病弱で喘息持ち、ほとんど学校にも通通えませんでした。

 

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17歳の時、母の下着を着けているのを父に見つかり勘当、家を追い出されます。あてのない放浪生活の始まりでした。

 

身寄りも保護者もないベーコンが身を寄せたのは夜の生活、同性愛者のコミュニティでした。法律で同性愛が禁じられた時代から、自らがゲイであることを公表し、生きたベーコン。

 

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その横には、家を追い出された時から献身的に尽くす乳母、ジェシー・ライトフットがいました。

 

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・・・次に訪れたのは、「Xアルバムの部屋」

 

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Xアルバムとは、乳母ジェシーの死後、落胆したベーコンが彼女のアルバムの表紙に、大きく×を書き、全ての写真を抜き取った台紙一枚一枚に絵を描き連ねたもの。

 

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生前、決して描かないと言っていたドローイングが、まとめて発見されたのは事件でした。

 

「すごいパワー、どのくらい夜、朝時間を使って描いているのか、社会に自分が思った感情を残したい、それをどんどん言葉じゃなくて絵にして残す理由。彼の一つのコミュニケーション・ツールとしてかもしれません」。

 

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レスリーが注目したのは、ゴッホを題材とした8枚のシリーズです。

 

「彼はある程度、フランシス・ベーコンの作品として許可されている時期だからね。確たる地位を築いた―ティストが、あえて過去の巨匠の作品に挑む、レスリーはその意味について考えていました。

 

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一回、自分の世界を離れたい。その思い通りの画家の自分に想像して、自分に飽きちゃって、一回自分を休んで、自分がこうなる、どんなものができる、次のステージを試してみる。

 

写真家、私も含めて音楽家、アーティストも含めて、対象行動の作ったものは区別する。5年、10年経ったら形、自分のオリジナリティ・フィニチュア、出て来てるじゃないですか。思い通りの画家の20、30年そこで新しくなったら生み出す。なにか原点に戻るためには、自分の好きな作品を見て、次の展開になったのかもしれないね。飽きちゃったとき、作品を見て、休んで、自分がこうなる、思い通りの画家の次のステージ。

 

ベーコンは油絵でもゴッホを題材にした作品を何枚も発表しています。より鮮やかで強い色彩。

ゴッホをテーマにしたドローイングを描いた時期、ベーコンの作風は大きな変化を遂げました。

 

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ベーコンの代名詞とも言える「叫び」、それを題材にしたドローイングがあります。「叫ぶ教皇」、ベラスケスの名画を題材にベーコンは叫ぶ教皇シリーズを描いています。その下描きとも思えるドローイング。

 

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しかし、その絵にはベーコンにとって別の意味があったとも考えられています。

 

以下、「その4」まで続きます。

 

過去の関連記事:

松濤美術館で「フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによる」その1

松濤美術館で「フランシス・ベーコン バリー・ジュール・コレクションによる」その2

NHK日曜美術館「恐ろしいのに美しい フランシス・ベーコン」

東京国立近代美術館で「フランシス・ベーコン展」を観た!

 

朝日新聞:2021年6月15日

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