以下、再掲です。
いまさらですが、「カサブランカ」のあらすじは以下の通り。
第二次大戦下のモロッコ・カサブランカ、ここはアメリカへの亡命者が集まっていた。酒場の経営者で裏パスポートを作っているリック(ボガード)は、ある日、昔の恋人イルザ(バーグマン)に出会う。イルザの夫は反ナチ運動家のリーダーで危険な立場にいた。リックとイルザの気持ちに再び火がつき、一度はふたりでやり直そうとするが、結局、リックはイルザと夫に亡命用のパスポートを渡し、ふたりがアメリカへ飛び立つのを見送る。
女は怒っていた。ほんとうに怒っていた。何が「君の瞳に乾杯」であるか。リックの気障野郎。ウヌボレの自意識過剰の、とんでもねぇ野郎だ。ちっとは、女の気持ちも考えてみらんね。女を惚れさせたら責任とれ!自分も惚れてんだろ?そういうのを、やせ我慢だっつうの! と、怒りを込めてahahaさんという方がおっしゃっていました。<別れの映画> 洋画編vol.1
「カサブランカ」とウッディ・アレンの「ボギー!俺も男だ」を取り上げて、この映画は「男の美学」で男の勝手な言い分、「別れの映画」なので、自分は理解を拒否したい、というようなことをahahaさんは書いていました。まあ、自分たちの出会いの頃にそんなメールの会話があったということを再確認した、言ってみれば「おのろけ」のようなものです。聞かされる方はたまりませんが・・・。
まあ、ウッディ・アレンはいいとして、「ボギー、ボギー、あんたの時代はよかった~ 男がピカピカの気障でいられた」と、沢田研二が歌ってましたね。たしかに、今さらながらにそう思いますよ、なにしろ女がどんどん強くなっていったので。そういえばこの歌「カサブランカ ダンディ」を作詞したのは阿久悠でしたよね。そこでまた思い出した、やはり沢田研二が歌った「時の過ぎゆくままに」も阿久悠でした。このタイトル「時の過ぎゆくままに」って、まさに映画「カサブランカ」に出てきた曲ですよね。これだけで「阿久悠、お前も悪よの~」と言えるかどうかはわかりませんが、いずれにせよ「カッコいい」の代名詞だったんですね。
実は昨晩、BS2でまたまた「カサブランカ」を観てしまいました。がしかし、今まであまりにも多くの人がこの映画を取り上げて四方八方から書いているので、どう書いていいのやら、迷いに迷っているというわけです。いまさら映画の中で何回も出てきた「君の瞳に乾杯!」と書くわけにもいかず、伝説の名セリフ、「夕べはどこに?」「そんな昔のことは覚えてないよ」、「今夜逢える?」「そんな先のことは分からない」と書いても、なんか白々しい思いです。実は、そんなことを書くヤツはちゃんと映画を観ていないんじゃないかと、今回この映画を観て思い至りました。ということは、今まで僕はちゃんと観ていなかったと白状しているようなものですが。
確かにこの映画、何度観ても、美貌のイングリット・バーグマンと、渋くてなおかつ気障なハンフリー・ボガードの組合せが絶妙です。モノクロ映画なのに、イングリット・バーグマンの涙を含んだ愁いの瞳が素晴らしい。霧の飛行場での最後のシーンも、哀愁が漂い印象的でした。がしかし、ドイツ占領下の酒場でドイツ軍歌を歌うドイツ軍人に対抗して、敢然とフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」を大合唱するシーンこそが、この映画の最大のメッセージなんだと、遅まきながらに気がついたというわけです。この映画は「レジスタンス」の映画なんですね。「そんなこと、わかっているワイ」という方も多いと思いますが、僕は今までこの映画何度も観ていますが、その辺りはなぜか素通りして観ていました。
なにしろ1942年のアメリカ映画です。1942年と言えば、第2次世界大戦のまっただ中、日本は「欲しがりません、勝つまでは」と耐乏生活に突入、パリ開放は1944年8月です。まだドイツ軍に占領されないフランス領モロッコの都市カサブランカは、暴虐なナチスの手を脱れて、リスボンを経由し新天地アメリカへ行くために、通過しなければならない寄港地だったんですね。そのカサブランカを舞台に、映画史に燦然と輝く名作中の名作である「ロマンス映画」をつくったんですね、余裕ですねアメリカは!
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