世界は今日も、茜色の空に包まれる。
渋谷のユーロスペースで、石井裕也監督×尾野真千子主演の「茜色に焼かれる」を観てきました。いや~っ、良かった、久々になかなか重い映画でした。
ついつい大森立嗣監督、長沢まさみ主演の「マザー」と比較しちゃいましたが、深いところをえぐっているということでは「茜色」に軍配を上げておきます。
これは、圧倒的な愛と希望の物語。
映画評論家の森直人は、「ジョン・レノンの『マザー』のごとき極私的発・ハードコア超大作」、と題して下記のように書いています。
言わば「絶唱」系。石井裕也の全身全霊の情念とエネルギーが叩きつけられる超重量級の傑作だ。2019年4月に池袋で起こった元官僚の高齢者ドライバーによる過失運転事故をモデルにしたとおぼしきエピソードを起点に、コロナ禍の現在ーー「マスクをつけた世界」を描く日本映画のいち早い登場。尾野真千子(石井監督とは『おかしの家』で組んだ)扮するシングルマザーの田中良子は、腐った社会の欺瞞や理不尽に対する巨大な問題提起だ。
具体の数字が示される厳しい経済事情。ウソと直截な本音を往還しながら、「まあ、がんばりましょ」のひと言をタフな命綱にひりひり焼かれる混沌に立ち向かう。ケイ役・片山友希や息子役・和田庵らも鮮烈!
遣って日々の屈辱を耐え過ごす。そんなふたりが最後の最後まで絶対に手放さなかったものとは……。
以下、シネマトゥデイによる。
見どころ:
『舟を編む』『町田くんの世界』などの石井裕也監督がメガホンを取り、『そして父になる』などの尾野真千子が主演を務めるヒューマンドラマ。世知辛い世の中で、時代に翻弄(ほんろう)されてきた主人公が、愛する中学生の息子と共にたくましく生きていく。息子をドラマ「隣の家族は青く見える」などの和田庵が演じるほか、片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏などが共演する。
あらすじ:
田中良子(尾野真千子)は生きづらい世の中で逆風にさらされながらも、13歳になる息子・純平(和田庵)の前では胸に抱えた哀しみや怒りを見せずに気丈に振る舞っていた。一方の純平も、屈辱的な出来事に耐えながら母を気遣っている。二人はもがき苦しみながらも、あるものだけは手放そうとしなかった。
「茜色に焼かれる」予告編
映画「茜色に焼かれる」予告編(出演:尾野真千子 ) - YouTube
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