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田中優子×松岡正剛の「江戸問答」を読んだ!

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田中優子×松岡正剛の「江戸問答」(岩波新書:2021年1月20日第1刷発行)を読みました。なかなか刺激的な本でした。二人の博識は以前から知っていましたが、次々と出てくる知識の量には驚かされました。

 

「日本問答」でも述べていて、繰り返しになりますが、田中優子の話。

私は1970年に法政大学に入りましたが、それから2年ほど経って、初めて江戸文化のすごさに気付いたことがあったんですね。それがきっかけで江戸文化研究に入っていくんですが、そのきっかけになったのが石川淳の「江戸人の発想法について」というエッセーでした(『文学大概』中公文庫所収)。このエッセーのなかのどこに驚いたかというと「江戸人であっては、思想を分析する思弁よりも、それを俗化する操作のほうが速かったからである」というところ。石川淳は「操作」という言葉を使っていたんですね。続けて「象徴が対応しないような思想はなきにひとしかった」とも書いてあって、江戸には二重の操作しかない、それは歴史上の実在と生活上の象徴であって、これが転換しあうのだというわけです。

 

「石川淳選集 第14巻(全17巻)」岩波書店

1980年12月8日第21刷発行

 

「江戸問答」とはどんな本か?

江戸問答とは、江戸の社会文化から今に響きうる問いを立てることである。近世から近代への転換期に何が分断され、放置されたのか。面影、浮世、サムライ、いきをめぐる、時間・場を超越したスリリングな問答から、「日本の自画像」を改めて問い直す。誇りたい日本、変えたい日本、語り継ぎたい日本がここにある。ロングセラー『日本問答』に続く、第二弾。

田中優子+松岡正剛の「日本問答」を読んだ!


目次
1 面影問答
 コロナの令和/改元はチャンスだった/日本の面影はそれぞれのなかに/江戸をどうふりさけ見るか/面影を追求した作家たち/様子をうかがう文化知覚距離/平時のなかのリスクマネジメント/「商品」が循環する社会/「界」と「隈」のデュアルスタンダード/祈りの場所は家のなか/融通無碍な江戸の信仰/一本の木のある風景/郊外の風景への憧れ/プレモダンの矛盾と葛藤/「分」から「類」への変化/「哀しみ型」と「博覧会型」/ジャーナル都市とデリバリー都市/江戸の多重性の秘密/俳諧文化と付句の愉しみ
2 浮世問答
 学問のオタク化と多様化/競争はないが評判はある/江戸文明論になぜならない?/江戸研究に足りないもの/自由な学びのダイナミズム/文人たちのネットワーク/地方の私塾が近代を拓いた/「座」と「講」と「連」と「社」/貴族も武士も町人も歌に遊ぶ/経済の基準も一つじゃない/土地の権利と暦の権利/華は表に、蘭は裏に/日本の買い物フィルター/秋田蘭画のリアリズム/浮世絵はどこから生まれたか
3 サムライ問答
 内村、新渡戸、天心が書かなかったこと/近代日本人の宗教観/西郷隆盛をどう評価するか/「湯武放伐」をめぐって/中国・朝鮮・琉球・日本の関係/武士道という理想像/岡倉天心がなしえた日本論/リアル武士は政策論者/幕藩体制の仕組みと矛盾/武士と農民と被差別民/明末清初と徳川幕府/サムライの気持ち
4 いき問答
 日本人のエロス/現実ばなれする色っぽさ/サムライ・ファッションの不思議/ファッションとしての江戸/風物詩としての洗い髪/江戸の粋いき、関西の粋すい/九鬼周造が見つめた苦界/心もとなさ、やるせなさ/樋口一葉――壊れつつあるものを描く/存在のおぼつかなさ/近代文学は江戸を継承したか/私ごとばかりの随筆文学/モードとしての日本語/江戸を捨てて成立した日本?/これからやるべきこと
あとがき1 新たな江戸文明の語り方へ……………田中優子
あとがき2 訂正と保留をこえて……………松岡正剛

田中優子:
法政大学社会学部教授などを経て法政大学総長。専門は日本近世文化・アジア比較文化。『江戸の想像力』で芸術選奨文部大臣新人賞、『江戸百夢』で芸術選奨文部科学大臣賞・サントリー学芸賞。『日本問答』(松岡氏との共著、岩波新書)、『苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神』(集英社新書)ほか著書多数。2005年度紫綬褒章。江戸時代の価値観、視点、持続可能社会のシステムから、現代の問題に言及することも多い。

松岡正剛:
工作舎、東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授などを経て、現在、編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。おもな著書は『日本流』『日本数寄』『日本という方法』『擬――「世」あるいは別様の可能性』『うたかたの国』ほか多数。2000年よりインターネット上でブックナビゲーションサイト「千夜千冊」を連載中、また2018年より文庫シリーズ「千夜千冊エディション」も刊行中。

 

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