先日、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」を、新宿武蔵野館で観ました。その後「愛のコリーダ」を上映する予定でしたが、コロナ禍で延期になっていました。それではならじと、大島渚監督の初期の傑作、「太陽の墓場」をTUTAYAで借りてDVDで観ました。
新宿武蔵野館で、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」を観た!
まず一番は、当時の社会の最底辺の世相ですね。描かれているドヤ街は、こんな時代もあったのかと驚くほどの背景です。もう一つ、これが僕の最大の目的ですが、「炎加世子」の魅力ですね。炎加世子といえば、松竹ヌーヴェルヴァーグの代表的女優です。大島渚に見いだされて、16歳で「太陽の墓場」に抜擢されます。篠田正浩監督の「乾いた湖」も有名ですね。
「太陽の墓場」は、大島渚が監督し、1969年に公開された日本の映画。松竹が制作、配給した。大阪のドヤ街を舞台に、愚連隊の下っ端の主人公を中心に最底辺に生きる人々の姿を描いた作品で、釜ヶ崎(あいりん地区)などでロケーション撮影が行われた。
以下、KINENOTEによる。
解説:
「青春残酷物語」の大島渚が、彼自身と助監督の石堂淑朗との共同オリジナル・シナリオを監督したもので、大阪のドヤ街を舞台にしたドラマ。撮影も「青春残酷物語」の川又昂。主演男女優に、炎加世子・佐々木功の新人が選ばれた。
あらすじ:
大阪の小工場街の一角にバラックの立ち並ぶドヤ街がある。安っぽい看板を下げた建物の中では、愚連隊風の若い男ヤスに見張らせて、元陸軍衛生兵の村田が大勢の日雇作業員から血を採っていた。花子がそれを手伝った。ポン太は三百円払うのが仕事だった。動乱屋と称する男は国難説をぶって一同を煙にまき、花子の家に往みつくことになった。ヤスとポン太は最近のし上った愚連隊信栄会の会員で、この種の小遣い稼ぎは会長の信から禁じられていた。その二人の立場を見抜いた花子は二人の支払いを値切った。一帯を縄張りとする大浜組を恐れる信は大浜組の殴り込みを恐れてドヤを次々に替えた。二人は武と辰夫という二人の少年を拾い、信栄会に入れた。仕事は女の客引きだった。ドヤ街の一角には、花子の父寄せ松、バタ助とちかの夫婦、ちかと関係のある寄せ平、ヤリとケイマ達が住んでいた。一同は旧日本陸軍の手榴弾を持った動乱屋を畏敬の目で迎えた。武は信栄会を脱走したところを見つかり、花子の力でリンチを免れた。信の命令で大仕事に出た武、辰夫、花子は公園でアベックを襲った。花子が見張り、物を盗り、辰夫が女を犯した。花子は動乱屋と組んで血の売買を始めたが、利益の分配でもめ、信栄会と組んだ。信の乾分の手で村田は街から追い出された。動乱屋のもう一つの仕事は、正体不明の色眼鏡の男に、戸籍を売る男を世話することだった。その戸籍は外国人に売られるのだった。その金で武器を買い、旧軍人の秘密組織を作るのだと豪語した。戦争や革命を夢みて、目的なく生きる人々が集まった。花子は坂口という若い医師を誘惑し、採血仲間に加えた。やがて信栄会は内部分裂し、信と花子は喧嘩別れした。仲間のパンパンのぶ子をつれて大浜組に身売りしようとしたヤスは信に殺された。アベックの男が自殺した。これらのことを見た武はこの世界に嫌気がさした。その武に花子の心はひかれた。村田をひろい上げた花子は、動乱屋と組んで再び血の売買を始めた。バタ助は動乱屋に戸籍を売ると、その金で大盤ふるまいをして、首を吊った。人のいい大男の戸籍を買った動乱屋は、男を北海道に追いやった。花子は武の口から、それとなく信栄会のドヤを聞いた。二人が公園まで来ると、狂ったように一人の女が武にとびかかった。恋人に死なれたアベックの女だった。花子がつきはなすと、女は悲鳴を上げて崖から転落した。安ホテルの一室で二人は激しく抱き合った。花子のすすめもあって、信栄会から足を洗うことを決心した武は辰夫に相談した。反対する辰夫はナイフを抜いた。倒れたのは辰夫だった。花子は大浜組に信栄会のドヤを教えた。信栄会は殴り込みを受け信の他は全員殺された。武と高架線の上を逃げる信は、ドヤの場所が武の口から花子に知れたことを悟った。銃声がひびいた。撃たれた武は信にしがみついた。離れない二人の上を、電車が通り過ぎた。呆然とする花子に動乱屋のヤジが聞こえた。ソ連が攻めて来て、世の中が変ったところで、このドヤ街に何の変化が来よう!花子もヤジった。騒然とした中に動乱屋の手榴弾が大爆発した。バラックはふっとんだ。その中を、採血針をもった村田が花子のあとを気ぜわしげに駈け廻っていた。