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佐高信の「時代を撃つノンフィクション100」を読んだ!

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佐高信の「時代を撃つノンフィクション100」(岩波新書:2021年3月19日第1刷発行)を読みました。かなり一気に…。なにしろ1項目が見開き2ページに収まる、2ページ×100項目、つまり200ページほどの本で、大変分かり易く読み易い本になっています。

 

本のカバー裏には、以下のようにあります。

ノンフィクションは、ひろく市民リテラシーを生み出すジャンルとして、戦後日本社会に貢献した。社会を見つめる眼を養い、いま自分たちはどのような時代にいるのか、状況への問いかけを発する精神を鍛えてきた。古典的名著から、2010年代の作品まで、時代を撃ち続ける100冊を選び抜いたブックガイド。

 

佐高信には、(僕は未読ですが)「現代を読む 100冊のノンフィクション」という9年前の著作があるんですね。それと徹底的に比較してやろうという猛者がいました。

 

 『現代を読む 100冊のノンフィクション』と比べてみた。

として、以下のように書いてる人がいて、いい意味で驚きました。本書と前著を詳細に比較検討しています。細かく長く続くのですが、ここでは省略して…。

 

著者は9年前に同じ岩波新書として、『現代を読む 100冊のノンフィクション』(以下前著と略)を出しているので、本書と前著をちょっと比べてみよう。
〇前著と本書の両方で取り上げられている本は26冊である。以下に記す。
ある歴史の娘、私戦、鞍馬天狗のおじさんは、自動車絶望工場、マリコ、ルワンダ中央銀行総裁日記、鼠、上海時代、ストロベリー・ロード、苦海浄土、閔妃暗殺、ヒロシマ・ノート、じゃぱゆきさん、フィリピーナを愛した男たち、からゆきさん、井上劍花坊・鶴彬、何日君再来物語、絢爛たる影絵、エビと日本人、極光のかげに、不可触民、南ア共和国の内幕、下下戦記、鬼畜、復讐する神話・松下幸之助の昭和史、村の女は眠れない。

 

僕は、佐高信の著作は、驚いたことに一冊も読んでいないことが分かりました。主として新聞での論評でみる、よく知っている評論家です。どちらかというと、好きな、硬派のタイプの評論家でです。ここで挙げられた100冊の本、ほとんど9割方知っていいるけど、ちゃんと読んでいません。なんとも情けない。

 

「はじめに」には、以下のようにあります。

私は徹底的に「上から目線」を排し、ローアングルで人間や社会をとらえる作品を選んだ。およそ30年前に岩波新書で「現代を読む」と題して「100冊のノンフィクション」を提供したが、私は「まえがき」にすぐれてノンフィクションは時代の鼓動を伝える。現代に生きる人びとの息づかいを伝える。海、旅、風あるいは青春という感じの軽いエッセイや紀行文のようなノンフィクションがもてはやされているが、それらは流動食であって、あまり栄養にはならない。時代に挑み、まるごとその何かを切り取ったノンフィクションこそ、容易に咀嚼し難くても、読者の地となり肉となるのである」と書いた。その問題意識で、今回も「事実に近づく興奮」(佐木隆三)を感じさせる作品を選んだ。

 

目次

はじめに


Ⅰ 現代に向き合う
──格差社会

 1 『無知の涙』 ……………永山則夫 著
 2 『鬼畜』 ……………西村望 著
 3 『ホームレス歌人のいた冬』 ……………三山喬 著
 4 『村の女は眠れない』 ……………草野比佐男 著
 5 『復讐するは我にあり』 ……………佐木隆三 著
 6 『自動車絶望工場』……………鎌田慧 著
 7 『生き地獄天国』 ……………雨宮処凛 著
──経済の深層
 8 『お笑い大蔵省極秘情報』 ……………テリー伊藤 著
 9 『異色官僚』 ……………佐橋滋 著
 10 『会長はなぜ自殺したか』 ……………読売社会部清武班 著
 11 『住友銀行秘史』 ……………國重惇史 著
 12 『電通の深層』 ……………大下英治 著
 13 『共生の大地』 ……………内橋克人 著
 14 『竹中平蔵 市場と権力』 ……………佐々木実 著
 15 『松下幸之助の昭和史』 ……………立石泰則 著
 16 『ルワンダ中央銀行総裁日記』 ……………服部正也 著
 17 『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』 ……………辻野晃一郎 著
──アウトローの世界
 18 『憚りながら』 ……………後藤忠政 著
 19 『闘いいまだ終わらず』……………山平重樹 著
 20 『田中清玄自伝』 ……………田中清玄 著
 21 『突破者』 ……………宮崎学 著
 22 『おそめ』 ……………石井妙子 著
 23 『許永中』 ……………森功 著
──宗教のゆくえ
 24 『「疑惑」は晴れようとも』 ……………河野義行 著
 25 『麻原彰晃の誕生』……………髙山文彦 著
 26 『A』……………森達也 著
 27 『創価学会秘史』 ……………高橋篤史 著
 28 『池田大作「権力者」の構造』 ……………溝口敦 著
 29 『闇の流れ』 ……………矢野絢也 著
 30 『カルト資本主義』 ……………斎藤貴男 著
──現代アジアと日本
 31 『じゃぱゆきさん』 ……………山谷哲夫 著
 32 『フィリッピーナを愛した男たち』 ……………久田恵 著
 33 『からゆきさん』 ……………森崎和江 著
 34 『エビと日本人』 ……………村井吉敬 著
 35 『バナナと日本人』 ……………鶴見良行 著
──科学と市民
 36 『知事抹殺』 ……………佐藤栄佐久 著
 37 『市民科学者として生きる』 ……………高木仁三郎 著
 38 『水俣病』 ……………原田正純 著
 39 『苦海浄土』 ……………石牟礼道子 著
 40 『下下戦記』 ……………吉田司 著

Ⅱ メディアへの問いかけ
──格闘するメディア

 41 『ネットと愛国』 ……………安田浩一 著
 42 『出版業界最底辺日記』 ……………塩山芳明 著
 43 『天下無敵のメディア人間』 ……………佐藤卓己 著
 44 『あわわのあはは』 ……………住友達也 著
 45 『メディアの支配者』 ……………中川一徳 著
 46 『渡邉恒雄メディアと権力』 ……………魚住昭 著
 47 『天人』 ……………後藤正治 著
 48 『南ア共和国の内幕』 ……………伊藤正孝 著
 49 『不可触民』 ……………山際素男 著
 50 『記者襲撃』 ……………樋田毅 著
 51 『銀バエ』 ……………山岡俊介 著
 52 『武富士追及』 ……………三宅勝久 著
 53 『「噂の眞相」トップ屋稼業』 ……………西岡研介 著
──メディアのなかの個性たち
 54 『田中角栄』 ……………早野透 著
 55 『昭和45年11月25日』 ………………中川右介 著
 56 『赫奕たる逆光』 ……………野坂昭如 著
 57 『孤獨の人』 ……………藤島泰輔 著
 58 『ドキュメント昭和天皇』……………田中伸尚 著
 59 『狼煙を見よ』 ……………松下竜一 著
 60 『一九六一年冬「風流夢譚」事件』 ……………京谷秀夫 著
 61 『蘆花徳富健次郎』……………中野好夫 著
 62 『鞍馬天狗のおじさんは』 ……………竹中労 著
 63 『井上剣花坊・鶴彬』 ……………坂本幸四郎 著
 64 『たいまつ十六年』……………むのたけじ 著
 65 『後藤田正晴』 ……………保阪正康 著
 66 『医者井戸を掘る』 ……………中村哲 著

Ⅲ 歴史を掘り下げる
──戦争を考える

 67 『拝啓マッカーサー元帥様』 ……………袖井林二郎 著
 68 『密約』 ……………澤地久枝 著
 69 『国防婦人会』 ……………藤井忠俊 著
 70 『別れのブルース』……………吉武輝子 著
 71 『天皇陛下萬歳』 ……………上野英信
 72 『あの戦争から遠く離れて』 ……………城戸久枝 著
 73 『ヒロシマ・ノート』 ……………大江健三郎 著
 74 『原爆供養塔』 ……………堀川惠子 著
 75 『逆転』 ……………伊佐千尋 著
 76 『不死身の特攻兵』 ……………鴻上尚史 著
 77 『米軍ジェット機事故で失った娘と孫よ』 ……………土志田勇 著
 78 『日航123便墜落の新事実』 ……………青山透子 著
 79 『ルーズベルトの刺客』 ……………西木正明 著
 80 『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』 ……………米原万里 著
 81 『絢爛たる影絵』 ……………高橋治 著
 82 『極光のかげに』 ……………高杉一郎 著
──朝鮮・中国の歴史と日本社会
 83 『朝鮮と日本に生きる』 ……………金時鐘 著
 84 『私戦』 ……………本田靖春 著
 85 『閔妃暗殺』 ……………角田房子 著
 86 『ディア・ピョンヤン』 ……………梁英姫
 87 『1★9★3★7』 ……………辺見庸 著
 88 『何日君再来物語』……………中薗英助 著
 89 『ピンポンさん』 ……………城島充 著
 90 『満州裏史』 ……………太田尚樹 著
 91 『張学良の昭和史最後の証言』 ……………NHK取材班・臼井勝美 著
 92 『上海時代』 ……………松本重治 著
──近代史を学ぶ
 93 『ポーツマスの旗』 ……………吉村昭 著
 94 『杉原千畝』 ……………白石仁章 著
 95 『ある明治人の記録』 ……………石光真人 著
 96 『鼠』 ……………城山三郎 著
 97 『ある歴史の娘』……………犬養道子 著
 98 『マリコ』 ……………柳田邦男 著
 99 『ストロベリー・ロード』 ……………石川好 著
 100 『中村屋のボース』 ……………中島岳志 著

おわりに
本書で取り上げた一〇〇冊

 

著者:佐高 信(さたか まこと)
1945年山形県生まれ
1967年慶應義塾大学法学部卒業
現在―評論家・東北公益文科大学客員教授
著書―『面々授受――久野収先生と私』(岩波現代文庫、2006年)、『久野収セレクション』(編著、岩波現代文庫、2010年)、『世代を超えて語り継ぎたい戦争文学』(共著、岩波現代文庫、2015年)、『敵を知り己れを知らば――佐高信の気になる50人』(岩波書店、2016年)、『反─憲法改正論』(角川新書、2019年)、『いま、なぜ魯迅か』(集英社新書、2019年)、『池田大作と宮本顕治――「創共協定」誕生の舞台裏』(平凡社新書、2020年)ほか

 


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