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山田洋次監督の「小さいおうち」を(再び)観た!

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テレビで放映していたものを、録画して、時間をおいて観ました。

「小さいおうち」は、以前、一度観ていました。

 

中島京子の小説も読み、ギャラリ-エークワッドの展覧会も観ています。

中島京子の「小さいおうち」を読んだ!
ギャラリーエークワッド「ちいさいおうち―時代を越えて生き続けるメッセージ―」

 

今回は、過去の記事をそのまま、載せておきます。

 

シネマ「小さいおうち」

2021年3月23日(火) 1:00PM(2H17M) NHKBSプレミアム

 

山田監督と俳優陣

 

以下、再掲します。

 

山田洋次監督の「小さいおうち」を観てきました。第64回ベルリン国際映画祭で、黒木華さんが最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞されたので、まずは“おめでとう”を言っておきます。が、しかし、最優秀女優賞とは、驚きました。松たか子が最優秀女優賞で、黒木華が最優秀助演女優賞ではと、一瞬、耳を疑いました。でも、この映画「小さいおうち」は、東京の郊外の丘の上に建つ赤い屋根の家に、女中として山形から奉公に来たタキが主人公なのでした。

 

原作はこの作品で2010年に第143回直木賞を受賞した中島京子の「小さいおうち」です。僕は、過去にこのブログに書いたので読んでみたら、なぜか途中までしか書いてありませんでした。バージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」(石井桃子訳、岩波書店:1965年12月発行)、山田洋次監督の前作「東京家族」にもさりげなく出てきていましたが、今回もしっかりこの絵本は使われていましたね。

 

小説では、松たか子演じる平井時子はなぜか二度目の結婚、タキも平井家へ来たのは三度目の奉公先でした。タキは二度目の奉公先から、時子と共に平井家へ来た、つまり、時子は女中付きで平井家に嫁いできた、というわけです。映画ではこのあたりは詳しくは描いていませんが・・・。平井家の旦那様は玩具会社の役員、奥様は目のぱっちりした、そりゃもう美しい人妻で、タキは「わたしは初めて、本物の都会のお嬢様を見た思いがした」と語っています。そして一人息子のお坊ちゃまがいます。典型的な中産階級の家で、もちろん“女中部屋”もあって、タキの居場所が狭いながらちゃんとあります。

 

物語の時代背景は、昭和10年代から終戦直後と、もう一つ、平成12年から21年頃、つまりは現代ですね。その二つの時代が交差しながら描かれています。若い頃の女中タキを演じるのが黒木華、もう一方は老年になったタキが大学ノートに自叙伝を書くという設定で、演じるのは倍賞千恵子です。倍賞から話を聞き出すのは、タキの甥である青年、妻夫木聡です。若い女中タキが見たある恋愛事件の秘密、それは奥様(松たか子)が、旦那様の会社の若い青年、板倉(吉岡秀隆)に次第に惹かれていきます。吉岡が出てくると、なぜか昭和レトロになります。そして板倉との密会です。奥様の帯の模様が、家を出たときと帰ってきたときに違っていたことを、タキはめざとく見つけます。その鍵を握るのは、一通の宛名のない未開封の60年前の手紙にありました。と、まあ、昭和と平成を往き来しながら、物語はミステリアスに描かれていきます。

 

甥の僕はやっと訪ね当てたお坊ちゃま、平井恭一氏に、車椅子姿の年老いた恭一役は米倉斉加年、「ご遺族がいいと言ってるんだ。かまわないだろう。読みましょう」と言われて開封します。宛名のない未開封の60年前の手紙には、「明日、昼の一時にお訪ねくださいませ。どうしても、お会いしたくおもいます。必ずお訪ねくださいませ。板倉正治様 平井時子」とありました。僕は思う。最晩年の大伯母の後悔の理由が、この手紙にあるかどうか。「はっきりしているのは、入営直前の板倉正治を訪ねていこうとした平井時子をなだめて、大伯母自身が書くように促した手紙を、彼女は板倉正治に渡さなかったということだ。それは白い美しい和紙の封筒に入れられたまま、66年間、眠り続けた」。理由はどうであれ、タキは奥様の手紙を板倉に渡さなかったのでした。

 

山田監督のねらいは、二つの時代が同じような方向へと向かっている、ということです。昭和の時代を彩るのが「昭和モダン」です。西洋文化と日本文化が交じり合って生まれた独特の世界観です。舞台である赤い屋根の家は、当時の流行が事細かに再現されたものです。懐かしさとモダンさを兼ね備えた美しさは、今見ると新鮮に映ります。そんな華やかで平和な日々の背後には、戦争へと向かっていく軍国主義の影も迫っていました、現代と非常に似ている危険な時代である、と山田監督はいいます。この時代に生きた人びとの心の動き、葛藤を見つめることで、今の日本が果たしてどこへ向かっていくのか、先行きの見えない時代を生きる私たちの進むべき道筋が見えてくるかもしれない、とも山田監督はいいます。

 

以下、とりあえず「シネマトゥデイ」より引用しておきます。


チェック:第143回直木賞を受賞した中島京子の小説を、名匠・山田洋次が実写化したラブストーリー。とある屋敷でお手伝いさんだった親類が残した大学ノートを手にした青年が、そこにつづられていた恋愛模様とその裏に秘められた意外な真実を知る姿をハートウオーミングかつノスタルジックに描き出す。松たか子、黒木華、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子ら、実力派やベテランが結集。昭和モダンの建築様式を徹底再現した、舞台となる「小さいおうち」のセットにも目を見張る。

ストーリー:健史(妻夫木聡)の親類であった、タキ(倍賞千恵子)が残した大学ノート。それは晩年の彼女がつづっていた自叙伝であった。昭和11年、田舎から出てきた若き日のタキ(黒木華)は、東京の外れに赤い三角屋根の小さくてモダンな屋敷を構える平井家のお手伝いさんとして働く。そこには、主人である雅樹(片岡孝太郎)と美しい年下の妻・時子(松たか子)、二人の間に生まれた男の子が暮らしていた。穏やかな彼らの生活を見つめていたタキだが、板倉(吉岡秀隆)という青年に時子の心が揺れていることに気付く。

 

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「小さいおうち」公式サイト


outi1 「小さいおうち」
2010年5月30日第1刷発行
著者:中島京子

発行所:株式会社文藝春秋








outi2 「ちいさいおうち」

発行日:1965年12月

作・絵:バージニア・リー・バートン
訳:石井桃子
発行所:岩波書店






 

過去の関連記事:
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ギャラリーエークワッド「ちいさいおうち―時代を越えて生き続けるメッセージ―」

第64回ベルリン国際映画祭で、黒木華さんが最優秀女優賞(銀熊賞)!

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