スティーヴン・フリアーズ監督の「あなたを抱きしめる日まで」を、フランス旅行へ行く往路、ANA機内で観ました。
ジュディ・デンチの出た作品、僕はあまり観ていないんですね。自分でももっと観ているかと思い、少ないので驚きました。調べれば出てくるかも知れませんが、映画館で観たのは「あるスキャンダルの覚え書き」のみ、ブログに書いていたのはこのの一作のみでした。その後ジュディ・デンチが出ているというので「アイリス」を再び観て、調べてみると「ショコラ」「シッピング・ニュース」「ラヴェンダーの咲く庭で」「NINE」などを観ていたことが分かりました。
ジュディ・デンチ、言うまでもなくイギリスを代表する名女優ですね。決して美人ではありません。いわゆる個性的な顔つきの、性格俳優です。「あなたを抱きしめる日まで」の、批評家の意見をまとめると「魅力あふれる実話に基づいた上に、ジュディ・デンチとスティーヴ・クーガンという実力派俳優の名演に支えられた作品である。目利きの観客にも深い感動を与えうるドラマだ。」とあります(ウィキペデイアによる)。
幼くして母を失った少女が、行きずりの若者と一夜を過ごし、妊娠してしまいます。そのことを恥じた父は、世間の目から隠すように彼女を修道院に預けます。少女はそこで男の子を産み、洗濯女として働かされます。子供と会えるのは一日1時間だけです。しかし、ある日突然に子供を養子に出されてしまいます。
この物語、まったくもって「マグダレンの祈り」じゃないですか。いや、物語じゃなく、「マグダレン」は、つい最近まであった実話なのです。「あなたを抱きしめる日まで」も、同じく実話なのです。フィロミナ・りーという人物の・・・。
ピーター・ミュラン監督の「マグダレンの祈り」を(再び)観た!
それから50年。少女は老女となり、過去の秘密を娘に告白します。私にはもう一人子供がいたと。自身も子供のいる年齢になっている娘は、元ジャーナリストのマーチンに、息子を探す手助けをしてくれないかと頼み込みます。最初はあまり気乗りしなかったマーチンが、老女フィロミナとともにアイルランドの修道院を手始めに息子を捜し出そうとしているうちに、しだいにのめり込んでいきます。多くの子どもたちが、修道院から売られるように外国に養子に出されていたことを知ります。
フィロミナとマーチンは、息子を捜して、海を渡りアメリカにまで足を延ばします。この二人、フィロミナとマーチンが対照的なので面白い。純真無垢なまま歳を重ねた信心深いフィロミナと、息子探しを手伝ってキャリアを挽回しようとする海千山千の元エリート記者。深刻ななかに、ときおり笑いを交えて、観るものを感動させます。ラスト、フィロミナは声を荒げるマーチンに言います。「赦しには、大きな苦しみが伴うものなのですよ」と。
以下、とりあえず「シネマトゥデイ」より引用しておきます。
チェック:10代で未婚の母となり幼い息子と強制的に引き離された女性の奇跡の実話を、『クィーン』などのスティーヴン・フリアーズ監督が名女優ジュディ・デンチを主演に迎えて映画化。ジャーナリストのマーティン・シックススミスによる「The Lost Child of Philomena Lee」を基に、50年前に生き別れた息子との再会を願う母親フィロミナの姿を描く。彼女の息子捜しを手伝うマーティン役には、本作のプロデューサーと共同脚本も務める『マリー・アントワネット』などのスティーヴ・クーガンがふんする。
ストーリー:1952年アイルランド、未婚の母フィロミナは強引に修道院に入れられた上に、息子の行方を追わないことを誓約させられてしまう。その後、息子をアメリカに養子に出されてしまった。それから50年、イギリスで娘と暮らしながら常に手離した息子のことを案じ、ひそかにその消息を捜していたフィロミナ(ジュディ・デンチ)は、娘の知り合いのジャーナリスト、マーティン(スティーヴ・クーガン)と共にアメリカに旅出つが……。
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