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三菱一号館美術館で「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900」を再び観てきました。3月6日夜、青い日記帳×「ザ・ビューティフル」展“ブロガー・特別内覧会”で一度観ていましたが、前売券を購入してあったので、再度、観てきたというわけです。ギャラリートークで、指定された箇所を学芸員の解説で観るのと、解説がなく自分の目で作品を観るのと、どこがどう違うのかの実験でもありました。いや、それほど大げさなものではなく、単に自分の観たいものを観てきただけですが・・・。
「唯美主義」、「物語」を語るためではなく、ただ視覚的な喜びを求めたい―。従来の絵画への反動として新しい美を求める心は、立場も表現も異なる人々を結びつけました。核となった一人が、詩人で画家のロセッティです。初期ルネサンスへの回帰を提唱したロセッティは、「愛の杯」で官能的で華やかな女性半身像を描きました。ムーアは「真夏」で、オレンジ色のローブをまといまどろむ女性を描きました。一貫して色彩の調和と緊密な画面構成を目指しました。
19世紀後半、産業革命がもたらした繁栄が続く英国で、色彩や形の美しさこそ芸術の目的だ運動が興りました。それは生活様式にまで及びました。当時の調度品は工場で大量に作られた決して美しいとはいえないものばかりでした。「何かが間違っている」。この分野では、日本美術の愛好家であった建築家ゴドウィンや、陶芸家ド・モーガンらが活躍します。芸術サークルに発した、生活全般に「美」を求める動きは、富裕層、中流階級へと大衆化の道をたどりました。
ウィリアム・モリスは1861年に会社を設立し、ロセッティ、バーンジョーンズらを協力者に家具やステンドグラスをデザイン・製造します。それらはやがて、アーツ・アンド・クラフツ運動となります。ロイヤルアカデミーの開帳レイトンは、人を惑わすような女性の魅力を描く「パボニア」、ラテン語で題名にもしたクジャクは、美の誇りの象徴として、唯美主義では好んで使われたモチーフです。歳末期の90年代は、早世した天才挿絵画家ビアズリーでした。浮世絵や唯美主義の画家たちの表現を消化し、独自の表現を獲得しました。
「唯美主義」とは?
時代に蔓延する醜悪さや物質万能主義から逃れ、新たな美を見出したいという欲求。唯美主義運動は、「芸術のための芸術」を創りだそうとしました。これはただ見る人の目を歓ばせるために存在し、大胆にも官能の悦楽までほのめかそうと願うような芸術です。
最新の芸術運動が生み出した作品を愛好した富裕なパトロンは、唯美主義者たちの洗練された生活様式にも魅せられて、そのエッセンスを自邸の装飾や服装にまで採り入れようとしました。
展覧会の構成は、以下の通りです。
序
「美術職人集団」
新たな美の探求
攻撃―「詩の肉体派」論争
遠い過去、遙かなる場所Ⅰ
ジャポニスム
遠い過去、遙かなる場所Ⅱ
古代文化という理想
ホイッスラーとゴドウィン
ホイッスラーのエッチング
唯美主義運動とグローヴナー・ギャラリー
「美しい人々(上流人士)」と唯美主義の肖像画
「ハウス・ビューティフル」
「美術産業製品」―唯美主義のデザイナーと営利企業
オスカー・ワイルド、唯美主義運動と諷刺
「美しい書物(ブック・ビューティフル)」
唯美主義におけるデカダンス
輝かしい落日―唯美主義後期の絵画と「ニュー・スカルプチャー」
序
新たな美の探求
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遠い過去、遙かなる場所Ⅰ
ジャポニスム
遠い過去、遙かなる場所Ⅱ
古代文化という理想
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ホイッスラーとゴドウィン
唯美主義運動とグローヴナー・ギャラリー
「美しい人々(上流人士)」と唯美主義の肖像画
「ハウス・ビューティフル」
唯美主義におけるデカダンス
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輝かしい落日―唯美主義後期の絵画と「ニュー・スカルプチャー」
「ザ・ビューティフル―英国の唯美主義1860-1900」
19世紀、英国で巻き起こった壮大なムーブメント!
19世紀後半の英国では、唯美主義者と呼ばれる前衛芸術家たちが追い求めた「新たな美」が大衆にまで広がって、壮大なムーブメントへと発展しました。本展は、好評を博した国際巡回展をもとに当館のために新たに構成した日本初の唯美主義展です。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵作品を中心に、油彩画、家具工芸品をはじめとする約140点によって、独創的な美と悦楽の世界を展観します。
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