ミラノには1990年前後に2回、そして2004年に1回、計3回行ってます。2004年3月2日、日本への帰国前日、半日時間が空いたので、僕はスフォルツアの城にあるミケランジェロの「ロンダニーニのピエタ」を観に行くために、一人でミラノの街を歩いていました。なんか美術館らしい標識を見つけて、吸い込まれるようにその邸宅に入りました。あまり目立たない入口でした。今思うと、それがポルディ・ペッツォーリ美術館だったようです。
階段室の写真を観たら、まず間違いなく僕が行った美術館でした。リーフレットがあったのですが、いくら探しても出てきません。美術館の名前も控えていませんでした。でも今回の展示品をみると、たしかに僕が観た美術館です。武具や甲冑、時計や宝飾品など、狭い室内に所狭しと並べられていました。小部屋が幾つもあって、どこをどう歩いているのか、ほとんど足の向くままに歩いていました。残念ながら絵画の展示してあるのを観たという記憶がありません。
そんなわけで、Bunkamuraザ・ミュージアムで「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」を観てきました。美術館の名前を聞いたときに、ミラノに、しかもオペラ座のすぐ近くにこんな美術館があったんだと思っただけで、僕が行った美術館だとは思いませんでした。だが、まてよ、地図を見てみると、僕がぶらりと入った美術館の位置です。階段室の写真を見ると、思いだしました。たしかに僕が行った美術館でした。
今回の「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」、約6000点以上もあるコレクションの中から約80点を選りすぐり、出品作のほとんどが日本初公開、だそうです。絵画や彫刻、工芸品や宝飾品など、先祖代々の財産を受け継いだポルディ・ペッツォーリ家の末裔ジャン・ジャコモの遺言により、すべての美術品は永久に公開するとして、美術館が誕生しました。
ポルディ・ペッツォーリ美術館となっている館は、もともと17世紀に建てられた貴族の邸宅です。ジャン・ジャコモは、コレクションにふさわしい趣向を凝らしてしつらえました。そして目玉は言うまでもなく、ピエロ・デル・ポーライウォーロの傑作である「貴婦人の肖像」です。15世紀に流行した横顔スタイルの肖像画で、裕福な上流階級の女性ですが、モデルが誰かわかっていません。そしてジャン・ジャコモが生前最後に購入したとされるボッティチェッリの「死せるキリストへの哀悼」も、今回の目玉と言っていいでしょう。
他に観ておくべき作品は、グリゼルダの物語の画家の「アルテミジア」とベルゴニョーネの「アレクサンドリアの聖カタリナ」があります。会場ではこのふたつの作品を対比的に展示していました。また、ジャンバッティスタ・ティエポロの「美徳と高潔の寓意」や、ジュゼッペ・モルテーニの「レベッカ」もありました。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第1章 ポルディ・ペッツォーリ・コレクション
第2章 ロンバルディア・コレクション
第3章 タペストリーと14・15世紀イタリア絵画コレクション
第4章 「黄金の間」コレクション
第5章 15・16世紀の美術と時計コレクション
第6章 ヴェネツィア美術および17世紀以降の美術コレクション
第1章 ポルディ・ペッツォーリ・コレクション
第2章 ロンバルディア・コレクション
第3章 タペストリーと14・15世紀イタリア絵画コレクション
第4章 「黄金の間」コレクション
第5章 15・16世紀の美術と時計コレクション
第6章 ヴェネツィア美術および17世紀以降の美術コレクション
「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」
ヨーロッパで最も優雅な邸宅美術館と言われているポルディ・ペッツォーリ美術館。ミラノ有数の貴族ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリが先祖代々の素晴らしい財産を受け継ぎ、また蒐集した美術品からなる珠玉のコレクションを誇ります。1881年、彼の死から2年後、「全ての美術コレクションは永久公開されるものとする」という遺言のもと、美術館が設立されました。本展はこの優美な美術館から、まだ少女らしいあどけなさの残る横顔、初期ルネサンスを代表するポッライウォーロの傑作であり、美術館の代名詞ともいえる《貴婦人の肖像》、ジャン・ジャコモが生前最後に購入したとされるボッティチェッリの《死せるキリストへの哀悼》、ラファエッロ(帰属)の《フランチェスコ会の聖人が描かれた行列用十字架》――邸内に飾られていた絵画をはじめ武具、工芸、蔵書など貴族の美意識あふれるコレクションの数々約80点が日本で初めてまとまって紹介されます。ルネサンスから19世紀に至るヨーロッパ美術の系譜をたどりながら、華麗なる貴族文化をご堪能ください。
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