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Channel: とんとん・にっき
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アナトール・リトヴァク監督の「愛情は深い海の如く」を観た!

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アナトール・リトヴァク監督の「愛情は深い海の如く」を、TUTAYAで借りてDVDで観ました。実は今年の初めごろに、やはりDVDで観たのですが、ときどき眠りながら観たようで、ストーリーがほとんど覚えていなかったので、再度借りて観なおしたというわけです。この作品、なぜかタイトルが古めかしく、気に入ったので、そして主演の女優がヴィヴィアン・リーということで、借りてきたのですが、アナトール・リトヴァク監督のことはまったく知りませんでした。


第二次世界大戦後のロンドン、この映画、ヒロインがガス自殺を図るところから始まります。夫は社会的な地位もあり、裕福だが、親子ほども歳が離れていて、主人公の妻とのあいだに通じるところが次第になくなってきました。このような映画の常、お決まりですが、丁度その頃、特に教養があるわけではない、若い元空軍パイロットに出会い、いわゆる一目惚れというヤツですが、お互いに愛しあうようになります。セックスシーンの映像が素晴らしい。それが夫にばれて、家を出ることになるのですが、男は異常な戦争体験からそれがトラウマになっていて、アルコール依存症でなにかにつけて怒りを露わにします。お互いが自分を曲げない、どっちもどっち、ついつい言い争いになります。夫のもとへ帰るわけにも行かず、ガス自殺を図り、なんとか助けられます。映画ではよくある話なので、なんか既視感があります。


こんなシーンもありました。美術館で二人が絵を観ています。フレッディが「いろんな陶器の破片?」と言う。

ヘスターが「キュビスムよ」と言い、「ブラックの絵とか」と言う。フレッディが「ブラックなブラとか」とジョークを飛ばす。「教養がないのさ」とフレッディ。「私には幼稚さがない」とヘスター。「僕のような幼稚な人間がこの国を守った」「そんなこと、今は関係ないでしょ?」「勇敢さは分かってる、問題はその考え方」「考え方だと、僕の考え方はまともさ!」「クソイカ」「どういう意味?」「その賢い頭で考えろ」「一体、どういう意味なの?」「クソったれのイカれ野郎ってことだ」去って行くフレッディ。「どこへ行くの?」とヘスターが聞くと、「印象派のところだ!」とフレッディ。この丁々発止の言い争いは見ものです。


下宿屋の管理人が、このおばさんがなかなかいい味出していて、見事な狂言回しです。男と喧嘩して帰ってきたヘスターに「教訓話」をたれます。と言っちゃいけないか、叔母さんの話は素直に聞いておかなくては・・・。

いい? 愛とは何か

くだらない説はたくさんある

でも本当の愛って何?

粗相したあとの尻を拭き

シーツを替えてあげることよ

威厳を保ってあげれば

互いにやっていける


ヴィヴィアン・リーといえば、なんといってもロバート・テイラーと競演した「哀愁」でしょう。もう何度も観ましたね。スカーレット・オハラ役の「風とともに去りぬ」もありました。こちらはクラーク・ゲーブルとの競演です。押しも押されぬ大女優です。「愛情は深い海の如く」は1955年の作品、ヴィヴィアン・リー42歳のときの作品です。


以下、「映画com」 より

「解説」

「彩られし幻想曲」のテレンス・ラティガンが自作の舞台劇を自身で脚色、「想い出」のアナトール・リトヴァクが監督、「ホブスンの婿選び」のジャック・ヒルドヤードが撮影、「完全なる良人」のマルコム・アーノルドが作曲を担当した。主なる出演者は「欲望という名の電車」のヴィヴィアン・リー、「裸の島」のケネス・モア、「黒騎士」のエムリン・ウィリアムズ、「砂漠の決闘」のエリック・ポートマン、「愛の物語」のモイラ・リスターなど。

「ストーリー」

ガスの栓を開け放しにしたうえ多量の睡眠剤を嚥んだヘスター(ヴィヴィアン・リー)は、同宿の人々の手で意識を回復した。彼女はこの部屋にフレッディ(ケネス・モア)と住んでいるが、彼は泊りがけてゴルフに出かけて留守だった。誰か身寄りを呼ぶ段になって、下宿屋の女主人エルトン夫人(ダンディ・ニコラス)は二人が正式の夫婦でないことを明らかにした。有名な判事ウィリアム・コリヤー卿(エムリン・ウィリアムズ)の妻として、何の不足もなく暮らしてきたヘスターは、一年まえのある日フレッディに逢った瞬間からその運命が大きく転換したのである。戦時中は空軍の勇士と謳われた彼も、軍服を脱げば軽薄で無教育な青年に過ぎなかったが、ヘスターはウィリアム卿のもとを飛び出して、フレッディと同棲を始めた。彼女はすべてを捧げて熱愛した。ところが彼は何一つ酬いることを知らない無気力な男にすぎず、挙句の果てが今度の自殺騒ぎだった。やがてゴルフから帰ってきたフレッディは、彼女の誕生日を忘れたから死ぬのだというヘスターの遺書を読んで、世間知らずな彼女の独占慾を不愉快に思い、下宿を飛び出してヤケ酒をあおり続けた。一方、再度の自殺を怖れたウィリアム卿はヘスターを自宅に連れ戻るが、彼女はそれを振り切って下宿へ帰った。その夜おそく姿を現わしたフレッディは、旅に出るといって荷ごしらえにかかった。そういえばヘスターが縋りついてとめるものと当てにしていたのだが、彼の虫のいい思惑は見事にはずれてしまった。...


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