三菱一号館美術館で開催された「ザ・ビューティフル―英国の唯美主義1860-1900」の、青い日記帳×「ザ・ビューティフル」展“ブロガー・特別内覧会”に行ってきました。「開催概要」は以下の通りです。
開催日時:2014年3月6日(木)18:00~20:00
場所:三菱一号館美術館(千代田区丸の内2-6-2)
スケジュール:
18:00~ 受け付け開始
18:30~19:00 本展覧会担当学芸員がピックアップした
おすすめの作品の前で解説します。
19:00~20:00 三菱一号館美術館特別鑑賞会
20:00 終了
展覧会の概要: http://mimt.jp/beautiful/
18時30分に、3階展示室「古代という理想」のコーナーに集合。
まず始めに高橋館長より、今回の展覧会は、たまたま六本木の森アーツギャラリーで開催している「ラファエル前派展」と同じ時代を扱っていたこと、2011年にパリやロンドンで開催された巡回展であること、三菱一号館美術館は1894年に建てられた美術館で、これほど似合う美術館は他にないこと、あまりに合いすぎて変だなとも思ったこと、などという話がありました。また、今後の開催予定としては、6月から「ヴァロットン―冷たい炎の画家」、10月から「ボストン美術館ミレー展―傑作の数々と画家の真実」、そして来年2月から「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展~アメリカ合衆国が誇る印象派コレクションから」が開催されるという話がありました。
ギャラリー・トーク
作品解説:加藤明子(三菱一号館 本店担当学芸員)
ナビゲーター:中村剛士(弐代目・青い日記帳)
「唯美主義」とは
さまざまな様式と芸術理論が乱立する19世紀半ばの英国。古い慣習や堅苦しい約束事から解き放たれて「新たな美」を見出したい、という欲求が、若手芸術家のあいだから湧き起こります。視覚的・触覚的な悦びを重視する唯美主義の傾向は、やがて日用品のデザイン改良運動と一体化して、一般家庭の室内をも美しく刷新しました。
まず、案内されたのは、ローレンス・アルマ=タデマの「目に見えている結末」(1885年)という小さな作品の前でした。ギリシャやローマの古代遺跡にあこがれた「グランド・ツアー」の時代、遺跡にもたれかかる古典的な衣裳を身にまとった女性を描いています。
以下、解説された作品
・アルバート・ムーア「黄色いマーガレット」1881年
絵の背景や額にも花がデザインされている。描かれているのは古代ギリシャ風の服を着ている。真ん中左側の扇は、日本の扇のよう。当時のフランスやイギリスでは、日本やアジア者が人気が高かった。マーガレットの色、服の色、扇の色、どれも黄色で、よく調和している。
・フレデリック・レイトン「パヴォニア」1858-59年
パヴォニアはラテン語で孔雀の意味。孔雀の羽の扇が広げられている。描かれているのは、イタリアのローマ出身の女性モデル。孔雀の背景に何が見えるか?
・フレデリック・レイトン「母と子(さくらんぼ)」1864-65年
描かれているのは母と子ども、その後には日本の屏風と百合の花。屏風には津留が。絨毯はペルシャ絨毯。細かい模様まで描かれている。
他に
・アルバート・ムーア「花」1881年
・トマス・アームストロング「干し草の野」
・ウィリアム・ブレイク・リッチモンド「ルーク・アイオニディーズ夫人」1882年
解説から、
百合は女性、向日葵は男性
ジャポニスム
唯美主義を支えた人は上流階級
主題を持たない―「母と子(さくらんぼ)」が典型
最後に案内されたのが、ジェイムズ・マクニール・ホイッスラーの「ノクターン:黒と金―輪転花火」(1875年)という、画面全体がほとんど真っ黒な作品でした。ホイッスラーが上りつめてから破産するまでの経緯は、その前に展示してあるゴドウィンによる「飾り棚」や「壺」等の意味が解説を聞いてはじめて分かりました。
「ザ・ビューティフル―英国の唯美主義1860-1900」
19世紀、英国で巻き起こった壮大なムーブメント!
19世紀後半の英国では、唯美主義者と呼ばれる前衛芸術家たちが追い求めた「新たな美」が大衆にまで広がって、壮大なムーブメントへと発展しました。本展は、好評を博した国際巡回展をもとに当館のために新たに構成した日本初の唯美主義展です。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵作品を中心に、油彩画、家具工芸品をはじめとする約140点によって、独創的な美と悦楽の世界を展観します。
注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
「ヴァロットン―冷たい炎の画家」
2014年6月14日(土)~2014年9月23日(火・祝)
スイスで生まれ、19世紀末のパリで活躍したナビ派の画家、フェリックス・ヴァットロンの日本初個展。油彩画とともに、白と黒のコントラストの木版画によって、20世紀以降の芸術に影響を及ぼしました。独特の市展と多様な表現を持つヴァットロン作品は、斬新で現代的であると同時に、まるで解けない謎のように重層的で、観る者に様々な感情を抱かせます。本展は、パリのオルセー美術館およびローザンヌのフェリックス・ヴァットロン財団の監修による国際展覧会として世界巡回を経たのち、2014年という日・スイス国交樹立150周年の記念すべき年に当館にて開催します。当館所蔵のヴァロットンのグラフィック・コレクションを含む約120点の油彩・版画により、冷淡な表情の裏に炎のような情熱を秘めた芸術家像を浮かび上がらせます。
「ボストン美術館ミレー展―傑作の数々と画家の真実」
2014年10月17日(金)~2015年1月12日(月・祝)
たくましく働く農民や自然の様子に温かいまなざしを向け、ありのままの姿を描いたジャン=フランスワ・ミレー(1814-1875)。ミレーはフランスのノルマンディー地方の農業を営む名家に生まれ、19歳で画家を志しシェブールで修行をはじめます。その後パリで画家として活躍した頃は、生活のために風俗画や裸婦像も手がけ、1849年、パリ郊外のバルビゾン村に家族で移住しました。1850年代にボストン出身の画家がバルビゾン村に定住し、その後ミレーの名品を母国に持ち帰ったことからミレー愛好熱が広まり、フランスを凌ぐほど優れた作品を市民が愛藏、その多くがボストン美術館に所蔵されています。本展では、ミレー生誕200周年記念として、「ボストン美術館3大ミレー」といわれる「種をまく人」、「刈り入れ人たちの休息(ルツとポアズ)」、「羊飼いの娘」など選りすぐりのミレーの作品25点を中心に、バルビゾン村で活動したコロー、ディアズ、ルソーらの作品、またミレーの影響を受けたクロード・モネらフランスの画家の作品など、総点数64点を展覧します。
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