鎌倉の著名建築物・美術館、閉館し取り壊し!?
国内初の公立近代美術館で、日本の代表的な近代建築として知られる神奈川県立近代美術館鎌倉館(鎌倉市)が2016年3月末で閉館する見通しとなっている。財政難に苦しむ県が、敷地の所有者である鶴岡八幡宮との土地貸借契約を更新しない方針を示しているためだ。契約を打ち切る場合は更地にして返還しなければならない。同館の解体を避けたい県は対応に苦慮しており、地元からは存続を求める声も上がっている。建築・美術界の有識者らでつくる「県立近代美術館100年の会」によると、鎌倉館は終戦直後、当時の神奈川県知事が戦災からの復興と文化振興を願って建設を決めた。近代建築の第一人者・坂倉準三の設計で知られている。白を基調としたシンプルな構造の建物は、鶴岡八幡宮の池にせり出すように建てられ、周囲の自然と調和するよう配慮されているなど優れた外観を持つ。近代建築の調査・保存を行う国際NGO「DOCOMOMO(ドコモモ)」(本部・スペイン)は1999年、「日本の近代建築20選」に選んでいる。地元の鎌倉美術家協会理事の村田真樹さん(59)は「文化はお金もうけの対象ではなく、財政難で閉館してしまうのは残念」と話す。100年の会事務局長で、建築家の兼松紘一郎さん(73)も「建築界にとって貴重な施設」と存続を訴える。日本建築家協会も10月23日、黒岩祐治知事らに対し、建物の保存を求める要望書を提出。「モダニズムの代表的建築物と歴史的景観の組み合わせは、国内では類を見ない。維持・活用が十分可能で、それを行う価値のある建築資産だ」とし、建物の保存を求めた。
(2013年11月19日12時27分 読売新聞)
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