渋谷パルコパート1で「青森県立美術館 コレクション展 北の異才たち」を観てきました。これは青森県立美術館の東京での「出店」、あるいは「アンテナショップ」といったところです。どういう経緯で東京でこのような展覧会を開催したのか、詳しいことはわかりません。青森県立美術館の建築は、コンペで青木淳が勝ち取ったもので、青木はすぐ近くの「三内丸山縄文遺跡」の発掘現場から着想を得て設計した、と語っています。
僕は2008年と2011年に青森県立美術館へ行きました。ともに季候のよい9月でした。「三内丸山縄文遺跡」ももちろん、観に行きました。ホームページなどには、雪に埋もれた美術館の画像が載っています。青森県立美術館と言えば、奈良美智の「あおもり犬」がよく知られています。また、大ホールにはマルク・シャガールのバレエ〈アレコ〉を題材にした壁画があります。
「北の異才たち」は、副題に「棟方志功、斎藤義重、小島一郎、成田亨、工藤哲巳、奈良美智・・・時代を変えた青森の作家たち」とあります。残念ながら会場の関係で作品の展示が限られていること、パルコの3階のやや奥まったところにあること、図録やパンフレットなどがないことなど、アピールするには弱点もあり、印象も薄い感じです。しかし、青森県立美術館の特徴を東京で観られるという、その意欲には頭が下がります。
セクション1 北の異才たち
出品作家:
小島一郎 … 写真界のミレーとして近年大きな話題を集める写真家。
工藤哲巳 … 「反芸術」の旗手。既成の価値や現代社会を鋭く告発する
作品で世界的に評価された美術家。
斎藤義重 … 戦後の日本美術を代表する美術家。
寺山修司 … 1960年代のアングラ文化を牽引した詩人・劇作家。
主宰した劇団「天井棧敷」のポスター等を展示。
奈良美智 … 国際的に活躍を続ける日本を代表する美術家。
青森県立美術館所蔵の作品「Lampflowers」(1993年)や
立体作品などを展示。
成田 亨 … 多くの人々からリスペクトされ続けている美術家、
特撮美術監督。
ウルトラマンやウルトラセブン、怪獣のデザイン原画を展示。
棟方志功 … 昭和を代表する美術家。 肉筆美人画の名品である
「御吉祥大辨財天御妃尊像図」(1966 年)等を展示。
村上善男 … 岡本太郎の薫陶を受け、東北の風土に根ざした表現を
追求した美術家。
セクション2 青森県立美術館の魅力
出品作家:
青木 淳(建築家、美術館設計者) … 青森県立美術館の映像
菊地敦己(アートディレクター、美術館VI 設計者) … ポスター
鈴木理策(写真家) … 青森県立美術館を撮影した写真作品
ミナ ペルホネン(ファッションブランド) … フロアスタッフのユニフォーム
青森県立美術館 コレクション展「北の異才たち」
本州最北端の地「青森」。この北の大地からは、いわゆる「芸術」の枠組みに収まりきれない多彩な才能が生まれ、鋭い視点で時代をとらえたり、時代の表現を大きく変えていきました。神仏像や美人画に独特の様式を打ち立てた棟方志功、写真界のミレーと称される小島一郎、ウルトラ怪獣の産みの親である成田亨、過激なオブジェ作品で世界を挑発し続けた工藤哲巳、1960 年代のアングラ文化を牽引した詩人で劇作家の寺山修司、そして若い世代の圧倒的支持を集める奈良美智など。本展はそうした東北、青森の風土が育んだ芸術的特質を、青森県立美術館のコレクションをとおして紹介するものです。あわせて、建築やサイン、ユニフォームなど、高い評価を受けている青森県立美術館の魅力にも迫ります。
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