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山種美術館で「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」(前期)を観た!

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山種美術館で「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」(前期)を観てきました。観に行ったのはこの展覧会が始まって直ぐ4月10日のことでした。「6月2日までやってるから、まだいいか」と思っていたのですが、あれよあれよという間に、いつもの通り、ブログに書くのが遅くなってしまいました。家人からは「観たら直ぐ書かなければ、意味ないじゃん」と言われつづけています。


「百花繚乱」、国語辞書には「 いろいろの花が咲き乱れること。 すぐれた業績や人物が一時期に数多く現れること。「―の歌壇」」とあります。サブタイトルは「花言葉・花図鑑」とあります。それにしても今回のポスター(チラシ、小冊子)は良くできています。荒木十畝の「四季花鳥」四幅対を部分的に切り取って、一つの図柄にしたものです。一つ一つにそれぞれ四季の花と鳥が配置されています。そして色合いがよい。この四幅対は「余白なくびっしりと描き込まれた草木花の描写は単純化され、琳派風の装飾性を思考したものである」と、「ザ・ベスト・オブ・山種コレクション」の図録にあります。


荒木十畝(明治5-昭和19年)の略歴を、以下に載せておきます。

長崎に生まれる。旧姓朝長、名は悌二郎。明治25年に上京し、荒木寛畝に入門。師に認められ、翌年その養嗣子となり、十畝を改号。日本美術協会に属する一方、日本青年絵画協会にも参加。31年野村文挙らと日本画会を結成。41年第2回文展より審査員となり、以後官展で重きをなす。昭和12年に帝国芸術院会員となる。また、明治33年寛畝門下によって設立された読画会を運営。伝統的な手堅い画法を基礎に、穏健な写実による花鳥画を得意とした。


本棚を探したら山種美術館の「百花繚乱」をいう小冊子が出てきました。表紙は田能村直入の「百花」という巻物の部分を取っていますが、なんとなく今回の「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」のポスターと色合いや感じが似ています。こちらの「百花繚乱」は、2011年5月に開催された「百花繚乱 桜・牡丹・菊・椿」のものです。どうしても今ごろの季節、「百花繚乱」という言葉を使いたくなるようです。実は上の荒木十畝の略歴は、それに書いてあったものです。


展覧会の構成は、以下の通りです。


第1章 人と花

第2章 花のユートピア

第3章 四季折々の花



第1章 人と花



第2章 花のユートピア






第3章 四季折々の花





「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」

鳥が謳い、花々が色とりどりに咲き誇る春は、私たちの五感を楽しませてくれます。当館では、この季節にあわせ花の絵画で美術館を満開にする特別展「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」を開催いたします。日本における季節の草花への関心と、それを造形化しようとする意識は古くから知られています。人は花の美しさを讃え、時には自ら育てる喜びをも享受し、時代ごとに様々な花の表現を生み出してきました。四季をめぐる日本の風土の中で、花は季節を示す重要な要素です。とりわけ物語絵や風俗画には、春夏秋冬の草花を愛でる人物や、日々の生活の営みとともに描かれる豊かな花の表現がみられます。一方、花鳥画や草花図には、本来異なる季節に咲く花々を一つの画面や対の画面に同時に描く趣向の作品が少なくありません。四季花鳥図あるいは四季草花図として、日本の自然の風景や植物を織り込みながら、季節の草花や鳥を一つの情景として捉える様式が形成されたのです。こうした花鳥画や草花図の伝統は、中国から伝来し、掛軸から巻子、屏風まで様々なかたちで表現されてきました。屏風に種々の草花を自然景として配した江戸琳派の鈴木其一《四季花鳥図》(前期展示)、池田孤邨《四季草花図》(個人蔵・後期展示)、中国絵画に学んだ花鳥画に装飾性を加味した荒木十畝による大画面の4幅対《四季花鳥》は、ユートピア(楽園)のイメージとも重なります。さらに、明治以降になると、速水御舟《名樹散椿》【重要文化財】や山口蓬春《梅雨晴》のように、近世の花鳥画や草花図に内在する美意識を踏襲しながらも、斬新な構図や色彩など近代的な感覚を取り入れた新たな花の表現が模索されました。本展では、「物語でたどる人と花」、「ユートピアとしての草花と鳥 」、「四季折々の花」という3つの切り口から花を描いた作品を厳選し、花言葉や花の特徴、花を題材とした和歌や画家の言葉とともに、その魅力をご紹介します。満開に咲き誇る花の表現を通じて、美術はもちろんのこと文学や園芸の視点からも作品を読み解きながら絵画をお楽しみいただける展覧会です。


「山種美術館」ホームページ

とんとん・にっき-yama1 「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」

小冊子(図録)

2013(平成25)年4月6日発行

監修:

山下裕二(山種美術館顧問・明治学院大学教授)
編集・執筆:

山種美術館学芸部(高橋美奈子/三戸信恵/塙萌衣)
発行:

山種美術館



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