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泉屋博古館で「吉祥のかたち」を観た!

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「吉祥とは、幸い、おめでたい印、おめでたい萌し、よい前兆を意味します」と、解説にあります。新春には多くの美術館が「吉祥」をテーマとして取り上げたりして、お正月のいわば「定番」のテーマでもあります。僕もここ数年、お正月には「七福神めぐり」をしています。青銅器では龍、麒麟、鳳凰文、仙人など、絵画では松竹梅や鶴亀、花鳥など、幸福や長寿を祈って、「吉祥」は取り上げられてきました、と解説にあります。吉祥と言うことでは、陶磁器でしたが2010年の始めに、松岡美術館で「吉祥のうつわ 中国陶磁にみる祝い寿ぐ文様の世界」展を観ました。その時はまさに吉祥がテーマで、しかも懇切丁寧な解説で、わかりやすく展示してあったのを覚えています。


台北の「故宮博物院」や、上海の「上海博物館」、そしてソウルの「国立中央博物館」などを訪れて、「本場物」を観る機会がありました。当然のことですが、良質のものが嫌と言うほどゴロゴロありました。日本に来ているものは、その中のほんの一部です。青銅器に関しては、ほとんどが中国本土で出土したもの、あるいは伝来のものです。茶道具の「名物」もそうです。あるいは、絵画で言えばそうしたものを手本に描かれたものです。「吉祥」の言い伝えも、ほとんど中国で生まれ、朝鮮を通って日本に伝来したものです。


そう言って嘆いてばかりいても始まりません。僕の感じでは、日本に来ているもの、あるいは日本で描かれたものは、綺麗なものが多い、やはり洗練されていて、素晴らしいものばかりです。根津美術館も出光美術館も、そうしたものを所蔵して、競い合っています。静嘉堂文庫美術館も同じで、素晴らしいものを数多く所蔵しています。で、今回の目玉は、伊藤若冲の「海棠目白図」でしょう。今回のポスターやチラシにも取り上げられています。泉屋博古館のホームページに、以下のような解説がありました。


花盛りの四手辛夷(シテコブシ)と海棠。枝には身を寄せあう「目白押し」の仲間たちをよそ目に、瞑目するかの目白が一羽。伊藤若冲(1716-1800)は京都錦小路の青物問屋の主人だったが、絵に深く傾倒、40代で果行を譲り制作に専念した。鶏図をはじめとする濃彩の花鳥図や水墨画で異彩を放った。実物の観察を重んじた若冲らしく目白独特の生態に着目した本図は、鳥類を多く描いた彼の作品中でとりわけ愛らしく、小鳥への素直な共感が感じられる。落款から代表作「動植彩絵」に着手する前後、40代前半の作と考えられる。


いや~、お恥ずかしい、今気がつきました。いただいた「吉祥のかたち」の出品リストの裏側に、「主要文様の成立と伝来~中国から日本へ~」という資料が付いていました。中国の時代ごとの文様について、「饕餮文」「龍形文様」「鳥形文様」「虎、亀、筆不意などの動物文様」「吉祥文様」「四神文の発達」などの、詳細な解説が載っていました。ここでは「日本に伝来した吉祥文様」について二つ、以下の載せておきます。


★日本に伝来した吉祥文様1―不老長寿の象徴・神仙の世界

青銅鏡は、呪術力・霊力をもつものとされ、不老長寿、子孫繁栄、官位栄達などの願いを叶える道具として珍重された。たとえば、「西王母(せいおうぼ)」は日本でも謡曲などで広く知られており、三千年に一度実るとされる不老長寿の仙桃を携えている。また月の仙女「姮娥(常娥)」は、西王母の不老不死の霊薬を盗み飲んだことから身体が軽くなり、月に昇ったといわれる。「寿老人」は、中国における「日帝」または「南極老人」の化身とされ、天下太平の象徴、長生きと繁栄を司る神として七福神の一人となった。


★日本に伝来した吉祥文様2―梅にまつわる画題

日本人にとって、厳寒の中で百花にさきがけて清楚な花を開き、芳香を放つ梅の花は古の愛でられてきた。中国においては、文人の精神は象徴する歳寒三友、四君子、五清などの一つとして尊ばれ、四季花鳥画の中では、春を代表する花として多く描かれた。江戸時代から好んで描かれた「羅浮仙」は梅の精の伝説によるもので、中国広東省にある羅浮山で、一人の人士が芳香を放つ美女に出会い、楽しく酒を酌み交わしているうちに眠り込み、明け方目覚めたときには美女は消え、そこには梅樹があるのみだったというもの。日本において好まれた美しい羅浮仙の絵は、訪れた客人を華やかにもてなしたと思われる。


以下、チラシの裏面に載っていた画像を、絵画3点、青銅器3点、載せておきます。






「新春展 吉祥のかたち」

吉祥とは、幸い、おめでたい印、おめでたい萌し、よい前兆を意味します。中国の古代青銅器には、邪悪なものをよせつけないことを意図して文様が施されました。これが吉祥の文様となり、人びとはさまざまな文様に吉祥の意を託し、幸福や長寿を祈りました。龍、麒麟、鳳凰文、仙人など、青銅器や青銅鏡に施された文様は慶賀に満ち溢れています。日本では、中国から伝来した松竹梅や鶴亀、花鳥などが吉祥の意匠として定着し、お正月の床の間に、吉祥、つまり「おめでたい」ものを飾り、その1年が無病息災、多福多寿であることを祈念する風習が生まれました。本展では、泉屋博古館所蔵品からお正月を言祝ぐのにふさわしい吉祥の作品を選び、ご紹介いたします。


「泉屋博古館分館」ホームページ

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