Quantcast
Channel: とんとん・にっき
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2506

松濤美術館で「シャガールのタピスリー展」を観た!

$
0
0



松濤美術館で「シャガールのタピスリー展」を観てきました。副題は「マルク・シャガールとイヴェット・コキール=プランス 二つの才能が織りなすシンフォニー」とあります。その題名の通り、画家マルク・シャガールと、その幻想世界を彼の絶対的信頼の元でタピスリーに描いたイヴェット・コキール=プランス。この二人の表現世界に注目した展覧会です。


イヴェットが最初に制作したシャガール作品は「アルルカンの家族」(1966年)。二人が出会ったのはシャガールが77歳、イヴェットが36歳の時だったという。彼女の才能は「シャガール以上にシャガール」と、シャガール自身も認めるほどでした。作品はイヴェットが選び、写真に撮ってタピスリー完成時の実寸大に引そのものき伸ばして下絵にしました。忠実に絵画を再現するとかえってシャガールらしさが失われるといい、タピスリーの見え方に合わせて色彩などを調整していきました。(朝日新聞:「美博ピックアップ」より)


展覧会の構成は、以下の通りです。


地下1階

・サーカス

・聖書

2階

・雄鶏と恋人たち

・花束と人物

・地中海の青

・色の分割

まず、地下1階の展示室に入ると「サーカス」の油彩や版画、タピスリーが続きます。そして緩やかに円弧を描いた展示室の中央に、二人による最大の作品、縦410cm、横620cmのタピスリーの大作「平和」(1993年)が壁に掛けられています。白井晟一の手になるこの吹き抜けの展示場は、まさにシャガールのタピスリーのためにあるような展示場です。タピスリーは全部で16点、どれもシャガールの作品の色彩やテクスチャーをそのまま見事に表現しています。油彩は10点、どれも一目でシャガールらしい色彩の作品です。他に、リトグラフが30数点ありました。いずれにせよシャガールのタピスリーの素晴らしさは、会場で実物を観なければ伝わりません。


油彩



タピスリー






「シャガールのタピスリー展 マルク・シャガールとイヴェット・コキール=プランス 二つの才能が織りなすシンフォニー」
20世紀を代表する巨匠マルク・シャガール(1887-1985年)。シャガールは、一枚の絵画を完成させるために、数十枚のスケッチやドローイングを残していますが、それ以外にも、コラージュやタピスリー、テキスタイル、ステンドグラス、陶器などといった様々な手法を用いた作品を残しています。それらの手法から得られた色彩や構図は、そのまま自身の絵画世界へと還元され、より魅力的で豊潤な世界を生み出すようになったのです。そこで本展では、シャガールの世界観を形成した「サーカス」や「花束と人物」、「色の分割」、「おんどりと恋人たち」「地中海の青」などいくつかのテーマに沿って、シャガールが試みた様々な手法の中から、特にタピスリーを中心に、油彩や版画を織り交ぜながら、そこに表現された世界を紹介します。このタピスリーを制作したのは、シャガールが最も信頼したタピスリー作家のイヴェット・コキール=プランス(1928-2005年)です。イヴェットが紡ぎ出したタピスリーは、シャガールの絵画に表れている本質を失うことなく、色彩やリズム、大胆な構図がそのままうつしとられ、時にはシャガールによる絵画以上に、「シャガール」そのものを体現しているといえます。このことはシャガール自身が認めていることであり、二人のアーティストが試みた新たな表現世界の成果でもあります。このタピスリーを中心とした本展では、シャガールとイヴェットという二人が織りなす素晴らしき表現の世界を、私たち自身が体感する大変貴重な機会となり、新たなシャガールの魅力の発見にもつながることでしょう。

「渋谷区立松濤美術館」ホームページ


過去の関連記事:
松濤美術館で「古道具、その行き先 坂田和實の40年」を観た!
渋谷区立松濤美術館で「藤田嗣治と愛読都市パリ」を観た!
渋谷区立松濤美術館で「渋谷ユートピア1900-1945」を観た!
渋谷区立松濤美術館で「芹沢銈介展」を観た!
渋谷区立松濤美術館で「大正イマジュリィの世界」展を観た!
渋谷区松濤美術館で「中國美術館所蔵 中国の扇面画」展を観た!
松濤美術館で「ガランスの悦楽 没後90年 村山槐多」展(後期)を観た!
松濤美術館で「ガランスの悦楽 没後90年 村山槐多」展を観た!
松濤美術館で「江戸の幟旗―庶民の願い・絵師の技―」展を観た!

渋谷区立松濤美術館で「素朴美の系譜」展を観た!
松濤美術館で「上海・近代の美術」展を観る!
松濤美術館で「大正の鬼才 河野通勢」展を観る!
松濤美術館で「ミネアポリス美術館浮世絵コレクション展」を観る!
「大辻清司の写真 出会いとコラボレーション」展を観る!
白井晟一の「渋谷区立松涛美術館」を体感する!




Viewing all articles
Browse latest Browse all 2506

Trending Articles