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畠山記念館で「利休と織部―茶人たちの好みと見立て―」を観た!

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畠山記念館で「利休と織部―茶人たちの好みと見立て―」を観てきました。観に行ったのは11月14日のことです。茶の湯の美術館を標榜する畠山記念館の茶道具コレクションから、利休と織部のゆかりの品を中心に、彼らが活躍した時代の作品を交えて紹介し、二人の茶人の求めた美のかたちを探っています。副題にある「茶人たちの好みと見立て」、何度も観てはいるのですが、この辺が最も難しいところ、なかなか理解するにはほど遠いところにあります。以前、畠山記念館で織部の茶碗に関しての展覧会を観たことがあります。


畠山記念館で「織部が愛した茶碗―高麗 割高台―」展を観た!


その時、「割高台茶碗」と「黒織部筒茶碗」については、以下のように書きました。


今回の目玉は、李朝時代の「割高台茶碗」でしょう。一目見て「なんだ、これは!」といいたくなる、荒々しい無骨なそして豪快な茶碗です。解説によると、この茶碗は織部が所持していたと伝えられているそうです。注目したいのはその名の通り、割れた高台です。撥形に開いた大きな高台が4カ所大きく切り込まれ、外側だけでなく、内側からも削り込まれて、深い十字文をつくっています。極めて作為的な造形です。高台を底から見ると、花クルスのようでもあり、織部キリシタン説と重なって、もとはキリシタン洗礼用祭器であったと推定されています。それを日本の茶人が茶器に転用したのが始まりで、それをモデルに後に注文がなされました。


次に、桃山時代の「黒織部筒茶碗」ですが、慶長年間(1596-1615)、古田織部の好みにより美濃元屋敷窯・弥七田窯で創製されたものと言われています。黒釉の一部の窓を開け、鉄釉で絵模様を描き込んだり、彫紋が加えられたものです。五島美術館に「黒織部沓形茶碗 銘わらや」というものがありますが、高さはこれほどありませんが、よく似ています。静嘉堂文庫の「黒織部茶碗 銘うたたね」や、あくまでもプロポーションだけの話ですが、三井文庫所蔵の国宝「志野茶碗 銘卯花墻」が似ています。


「伊賀花入 銘からたち」については、ホームページの作品解説に、以下のようにあります。


口部はふっくらと造り、縁を内側に曲げて姥口とし、頸部は左右に四方板耳を付ける。前後に鐶付用の孔の跡があることから、この種の大きな花入も掛花入として茶席に用いられたことが知られる。裾広がりに造った胴部は、六角に面取りし、箆目を入れて区切っている。俗にビロード釉と称される自然釉が裾を残してほぼ全体に厚く掛かり、そこへ窯の中の灰や土が付着してさまざまな景色をつくりだしている。口縁の一部が欠けて、その破片が胴に付着した様子を、「からたち」の棘に見立てて銘としたものである。


以下、「與衆愛玩 琳派」(平成19年4月3日発行)による。


伝俵屋宗達筆「扇面草花図」は、金地の扇面の左右から水面が広がり、その間を桔梗とメヒシバが咲き乱れる様子を描いています。向かって奥の水面は金泥の細線で波を丹念に描き出すが、手前は群青に塗り分けています。桔梗の花の描き方や、左右斑点にした二つの水面など、モチーフに定型化がみられます。


俵屋宗達筆「騎牛老子図」は、「たらし込み」で描かれた黒牛が、背に老子を乗せてゆっくりと歩いています。宗達最晩年の作と推定され、「たらし込み」による墨の濃淡を生かして牛の重量感を巧みに表現しています。これに対して騎乗の老子は、柔らかい筆のタッチで軽妙に描かれて、ユーモラスな老子の表情が魅力的です。









「利休と織部―茶人たちの好みと見立て―」

今日に至る茶の湯の歴史上に燦然と輝く茶聖・千利休。信長、秀吉のもとで茶の湯を「総合芸術」の域にまで高めました。一方、戦国武将として天下人に仕え、茶人としては利休の門弟であった古田織部。利休が大成した茶の湯を引き継ぎながらも、独自の表現を好み、利休亡きあとの茶の湯界に大きな影響を及ぼしました。本展は利休と織部ゆかりの茶道具を通して、二人の求めた美のかたちを探ります。


「畠山記念館」ホームページ


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