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岡田温司の「アダムとイヴ」を読んだ!

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岡田温司の「アダムとイヴ 語り継がれる『中心の神話』」(中公新書:2012年10月25日発行)を読みました。岡田温司の中公新書は4冊目、これまで「マグダラのマリア」、「処女懐胎」、「キリストの身体」を読みました。また、岩波新書では2冊、「デスマスク」と「グランドツアー」を読みました。彼の著作を読む旅に、自分がいかに何も知らなかったのだ、ということを思い知らされ、忸怩たる思いがします。近年、次々と著作を出し、最も脂が乗り切っているように見えます。岡田温司の略歴をみると、1954年生まれ、京都大学大学院博士課程修了、京都大学教授、とあります。


本のカバー裏には、以下のようにあります。

「旧約聖書」に登場する、最初の人間アダムとイヴ。二人の名前は「禁断の木の実」「楽園追放」などのキーワードとともに語られ、日本人にとっても馴染み深い。しかし彼らの物語から生まれた、文化、思想、文学・美術作品の多様さは、私たちの想像を遙かに超えるものがある。本書では、美術史的な解説・解釈にとどまらず、アダムとイヴが歴史上いかに語られ、いかに現代社会に影響を及ぼしてきたかを探っていく。


この本の口絵に載っている画像を一部、下に載せておきます。


以下に、本書「アダムとイヴ」の目次を載せておきます。

第Ⅰ章 人間の創造

第Ⅱ章 エデンの園

第Ⅲ章 原罪と追放

第Ⅳ章 エデンの東


岡田は、アダムとイヴについてはずっと心のどこかに引っかかっていた、という。そして、以下のように書いています。「この神話は、西洋の宗教から科学、政治から社会、思想から文化、文学から芸術まで、およそあらゆる領域にまたがって浸透し、根底で生きつづけてきた、まさしく『神話の中の神話』だからである」と。


上の「目次」にみる通り、書かれていることは、知っているようで実は知らないことばかりです。たとえば「エデンの東」。ジェームズ・ディーンが主演した映画「エデンの東」は誰でも知っており、僕も何度か見たことがあります。ジョン・スタインベックが「エデンの東」の原作者であることも、読んではいなくても知ってはいます。しかし、その中心となる話は、2人の子供カインとアベルの話、兄カインが弟アベルを殺害してしまうという、兄弟殺しの話です。「エデンの東」と「カインとアベル」の話を別々には知っていても、結びつかない。「カインの末裔」という話も聞いたことがありますが、結びつかない。


岡田によると、カインとアベルは私たちの心の二つの面を象徴している、という。このことは二人の名前にも反映している。カインは「所有」という意味であり、それゆえこの男は、すべてを自分のものにできると過信している人間の代名詞である。他方アベルは、「神に(すべてを)もたらす者」という意味を持つ。こうしたことまでは、僕らには言われるまでわかりません。「エデンの東」と「カインとアベル」は、一つの例です。「アダムとイヴ、どちらがより罪深いのか?」という論の立て方も面白く読みました。もちろん「創世記」をしっかり読んで、理解している人は別ですけど、僕らのような凡人にはなかなか知り得ないことばかりです。


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