山下裕二の変化球「山種コレクションベスト10」は、以下の通りです。
第1位 松岡映丘「山科の宿、雨やどり・おとづれ」
一般的な知名度はないが、山種の今後の方向を示している。
チラシやポスターに使った。
第2位 小室翠雲「海寧観湖」
いかにも南画風、今後注目されていい作品。
第3位 西郷孤月「台湾風景」
孤月は可哀想な身の上、橋本雅邦教授に気に入られて、
その娘と結婚するが、不仲になって失踪します。台湾で病気になり、
日本へ帰ってきます。ただただ素直にヤシの木を描いた最晩年の
気持ちが出ている。名前からして悲しい。
第4位 西村五雲「白熊」
円山四条派、栖鳳の弟子。動物の絵が得意。
日本にはいない白熊を描いた。罫描き、さらに強調されている。
第5位 山元春挙「火口の水」
大画面に小さく鹿が2匹いる。水面の色が3Dっぽい。眼鏡をかけると
飛び出してきそう。写真の影響が強い。田村一村も写真を撮っていた。
日本画に逆光表現を取り入れた。写真を通じて得られた絵。
第6位 森村宣稲「宇治川競先」
武者絵。
第7位 落合朗風「エバ」
日本画なのにエバです。変な絵です。蛇はいるが、リンゴはない。
妙な鳥がいる。アンリ・ルソーとゴーギャン。朗風が41歳で早世した直後、
藤田嗣治が「朗風君は私をよく理解してくれた」を弔辞を書いたという。
第8位 小林古径「静物」
油彩なのに落款がある。中国の形式。
岸田劉生を意識している。大正という時代。
第9位 福田平八郎「牡丹」
2曲1隻の屏風、妖しい光を放っている。
第10位 佐伯祐三「レストラン(オ・レヴェイユ・マタン)」
以上、山下裕二の「変化球10選」でした。
第1位 松岡映丘「山科の宿、雨やどり・おとづれ」
第2位 小室翠雲「海寧観湖」
第3位 西郷孤月「台湾風景」
第4位 西村五雲「白熊」
第5位 山元春挙「火口の水」
第6位 森村宣稲「宇治川競先」
第7位 落合朗風「エバ」
第8位 小林古径「静物」
第9位 福田平八郎「牡丹」
第10位 佐伯祐三「レストラン(オ・レヴェイユ・マタン)」
「ザ・ベスト・オブ・山種コレクション」展
1966(昭和41)年、日本初の日本画専門の美術館として誕生した山種美術館は、2011年で開館45周年を迎えます。これを記念し、当館が所蔵する約1800点の収蔵品の中から名品を選りすぐり、一堂に展示する特別展を開催いたします。当館のコレクションは、横山大観、上村松園、小林古径、加山又造、平山郁夫など、名だたる作家たちと直接交流を重ねる中で蒐集された日本画が核となっています。また、「幻の画家」と呼ばれた日本画家、速水御舟のコレクションは、質・量ともに国内外随一を誇ります。さらに、当館の収蔵品は日本画だけにとどまらず、琳派などの江戸絵画や浮世絵、近代の洋画も含まれています。今回の特別展では、岩佐又兵衛《官女観菊図》★、竹内栖鳳《班猫》★などの重要文化財や、切手になったことでも知られる村上華岳《裸婦図》★、福田平八郎《筍》☆、速水御舟《炎舞》[重要文化財]☆、奥村土牛《醍醐》☆をはじめ、当館の代表的な作品から隠れた優品まで約80点をセレクトし、前期と後期で全点を入れ替えてご紹介いたします。普段はまとまって展示されることのない傑作の数々が一堂に会する本展覧会を通じて、山種コレクションの真髄を心ゆくまでご堪能いただければ幸いです。
註:★前期展示(11/12~12/25)☆後期展示(1/3~2/5)
「ザ・ベスト・オブ・山種コレクション」
図録
監修:
山下裕二(山種美術館顧問・明治学院大学教授)
編集:
山種美術館学芸部
山崎妙子/高橋美奈子/三戸信恵/櫛淵豊子
発行:
山種美術館
過去の関連記事:
山下裕二の「知られざる山種コレクション10選」を聞いた!
山種美術館で「ザ・ベスト・オブ 山種コレクション」(前期)を観た!
山種美術館で「百花繚乱 桜・牡丹・菊・椿」展を観た!
山種美術館で「BOSTON 錦絵の黄金時代 清長、歌麿、写楽」展を観た!
山種美術館で「歴史画を描く―松園・靫彦・古径・青邨―」展を観た!
山種美術館で「日本美術院の画家たち―横山大観から平山郁夫まで」展を観た!
山種美術館で「日本画と洋画のはざまで」展を観た!
山種美術館で「江戸絵画への視線」展を観た!
山種美術館で「浮世絵入門」展を観た!
山種美術館で「生誕120年 奥村土牛」展を観た!
山種美術館で「大観と栖鳳―東西の日本画―」展を観た!
山種美術館で「速水御舟―日本画への挑戦―」展を観た!
山種美術館で「美人画の粋 上村松園」展を観た!
山種美術館で「桜さくらサクラ・2009」展を観た!
山種美術館で「松岡映丘とその一門」展を観た!
山種美術館で「大正から昭和へ」展を観た