ロンドンオリンピックも、終わりました。さて、次はなに?
東京オリンピックの時に、僕はバックススタンド後方の聖火台の下にいました。スタンドの外側、神宮外苑ですが、それでも赤々と燃える聖火台の炎を間近に見上げました。快晴の空を見上げれば、ブルーインパルスによる五色のスモークが、五輪のマークをつくっていました。1964年10月10日のことです。
上の写真は、2012年7月21日(土)の新聞の全面広告です。まさに「なんだ、これは!」ですよね。何の広告なのか? あたらしい国立競技場の国際デザイン・コンクールの広告なんですね。「国際デザイン・コンクール」って、なに?まずは、7月21日の全面広告の文章を、下に載せておきます。
「いちばん」をつくろう。
日本を変えたい、と思う。新しい日本をつくりたい、と思う。
もう一度、上を向いてを向いて生きる国に。
そのために、シンボルが必要だ。
日本人みんなが誇りに思い、応援したくなるような。
世界中の人が一度は行ってみたいと願うような。
世界史に、その名を刻むような、世界一楽しい場所をつくろう。
それが、まったく新しく生まれ変わる国立競技場だ。
世界最高のパフォーマンス。世界最高のキャパシティ。世界最高のホスピタリティ。
そのスタジアムは、日本にある。
「いちばん」のスタジアムをゴールイメージにする。
だから、創り方も新しくなくてはならない。
私たちは、新しい国立競技場のデザインコンクールの実施を世界に向けて発表した。
そのプロセスには、市民誰もが参加できるようにしたい。
専門家と一緒に、ほんとに、みんなでつくりあげていく。
「建物」ではなく、「コミュニケーション」。
そう。まるで、日本中を巻き込む「祝祭」のように。
この国に世界の中心をつくろう。スポーツと文化の力で。
そして、なにより、日本中のみんなの力で。世界で「いちばん」のものをつくろう。
あたらしい国立競技場 国際デザイン・コンクール、スタート
世界中の建築家から国立競技場の「デザイン」を公募いたします。これは今世紀最大規模の国家プロジェクトです。完成は2018年度、2020年オリンピック・パラリンピックが東京に来たときにはメインスタジアムとなるものです。その前年には「ラグビーワールドカップ(RWC)2019」が開催されます。サッカーのFIFAワールドカップや、陸上の国際競技大会の開催、世界的なアーティストのコンサート等、文化・芸術の発信基地にもなります。新しいスタジアムを新しい創り方で。私たちJAPAN SPORT COUNCILでは、デザイン案の選定から完成までのプロセスをオープンにすることで、みんなでつくりあげていくスタジアムにしたい。いま日本に必要なのは、夢の力だと思います。
JAPAN SPORT COUNCIL 理事長 河野一郎
◎委員長 安藤忠雄
◎委 員 鈴木博之、岸井隆幸、内藤廣、安岡正人、小倉純二、徳倉俊一、
ノーマン・フォスター、リチャード・ロジャース、河野一郎
さて、問題の箇所、
「応募資格」ですが、
1.下記の国際的な建築賞のいずれかの受賞経験がある者
高円宮殿下記念世界文化賞(建築部門)
プリツカー賞(建築界のノーベル賞)
RIBA(王立英国建築家協会)ゴールドメダル
AIA(アメリカ建築家協会)ゴールドメダル
UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル
2.収容定員1.5万人以上のスタジアム(ラグビー、サッカー又は陸上競技場等)の
基本設計又は実施設計の実績を有する者
実は、このコンクール、一般にはほとんど知られていないようですし、建築界ではあまり評判はよくないようです。「公募する」と言っておきながら、誰でも参加できるわけではないようです。なにしろその応募資格が厳しすぎます。国際賞受賞者は、槇文彦、磯崎新、谷口吉生、伊東豊雄、安藤忠雄、妹島和世+西沢立衛(SANAA)です。安藤忠雄を除けば、たったの5組。というと、海外組を想定しているのか?そうなるとあとは、スタジアム設計実績のあるゼネコンか組織的な設計事務所です。国際賞受賞者とゼネコンか大組織事務所が組むのでしょうか?これでは限られた人たちの設計競技です。であるならば、なぜ「指名設計競技」にしなかったのでしょうか?審査委員長は別にして、審査委員がすごい。香港上海銀行のノーマン・フォスターと、ロイズ・オブ・ロンドンのリチャード・ロジャースですよ。なんで都倉俊一なのかもありますが。また、「そのプロセスには、市民誰もが参加できるようにしたい」、「専門家と一緒に、ほんとに、みんなでつくりあげていく」とありますが、ホントかな?と思ってしまいます。さてさて、どういう結果に相成りますでしょうか?
「新国立競技場 国際デザイン・コンクール」主に応募資格に対する反応