久し振りに映画館へ行きました。「トガニ 幼き瞳の告発」、またまた韓国映画です。この後も観にいく予定があるのは、「かぞくのくに」や「プンサンケ」など、韓国や朝鮮ものです。どうして韓国映画になってしまうのか、よくわかりませんが、日本映画やハリウッドものには観たいものがないからです。と断定するわけではないのですが、山田洋次監督が選んだ日本の名作などは、ブルーレイに撮ってよく観ています。テレビで録画しておくと、いつでも観られることが大きいかと思います。
2000年から6年もの間、ある聴覚障害者学校で、校長や教員らが複数の生徒に性的虐待を行っていたという、信じられない事件が告発されました。このような事件は、韓国だけのことではなく、日本でも何度かマスコミを賑わしてはいます。ただ日本と違ったのは、この事実に怒りを感じた韓国人作家が、事件を題材にして小説を発表し、大ベストセラーになったということ。さらにこの小説を読んだ俳優コン・ユが映画化を熱望し、韓国で公開されるや460万人以上を動員、多くの人々が司法制度を批判し、政府を動かすまでになった、ということです。
主人公の美術教師イノ(コン・ユ)は、ムジンという町にある慈愛学園という聴覚障害者学校に職を得て、赴任します。着任早々彼は、教職を得た見返りとして校長の弟の行政室長から大金を要求されます。彼は母親に頼って、なんとかその金を用意します。校長と行政室長が、双子だったのには驚きました。次第に彼は、学校内の雰囲気がただならぬ状況であることを感じ始めます。何人かの生徒が、校長や教師によって性的虐待を受けていたからです。生徒たちは、耳が不自由な上うえ、親からも見捨てられていて、容易にその惨状を訴えることができません。
イノは校長たちを追求し、警察に訴え、裁判に持ち込みます。しかし社会が見る目は、この学校がキリスト教の慈善活動としてその地域に確立してきた功績だけです。彼らへの支持層も厚く、その人脈は行政や司法までに及んでいます。事件をもみ消し、真相を隠そうとする力が働きます。要するに「隠蔽体質」です。この辺までの筋立ては、取り立てて珍しいということはありません。法廷劇に移ってからは、丁々発止で手に汗握り、片時も目が離せません。子どもたちの証言を見るのは辛いことです。しかし、お決まりの汚い裏工作があって、結局校長たちへの判決は意外なほど軽くて、学校は今まで通り続けていました。
しかし、この映画が韓国で公開されると、その影響で2011年10月、子供への性暴力犯罪の処罰に関する改正案を「トガニ法」と名付けた法律改正されました。また2012年7月、女生徒への性暴力で加害者である行政室長に対して裁判所は「懲役12年、10年間の身元公開と電子足輪装着」を命令しました。学校は閉鎖し、政府も動いて新しい法律をつくるまで進展したのは、やはり世論に火がつき、再び社会がこの事件に注目したからだと言えます。
以下、とりあえずシネマトゥデイより引用しておきます。
チェック:『マイ・ファーザー』のファン・ドンヒョクが監督と脚本を務め、実話を基にしたコン・ジヨンの小説「トガニ-幼き瞳の告発-」を映画化した衝撃作。聴覚障害を持つ子どもたちに暴行や性的虐待を行い、それを隠ぺいしようとした教育者たちの本性を暴き出す。本作の映画化を熱望した『あなたの初恋探します』などのコン・ユがこれまでのイメージを一新し、悩める教師役で新境地を開拓。国をも動かした、あまりにもむごい真実の物語に戦慄(せんりつ)する。
ストーリー:カン・イノ(コン・ユ)は大学時代の恩師の紹介で、ソウルから郊外のムジンという町の聴覚障害者学校に美術教師として赴任する。着任早々彼は校長の弟の行政室長(チャン・ガン)に、教職を得た見返りとして大金を要求される。最初から学内の重苦しい雰囲気を奇妙に感じていたイノは、ある晩、帰宅しようとして子どもの悲鳴を聞きつける。
「トガニ 幼き瞳の告発」公式サイト