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千葉市美術館で「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」(後期)を観てきました。第1章では、簫白に先駆けた、あるいは同時代に復古的な、中国的な絵を描いた画家たちを紹介しています。第2章は、簫白出現、簫白高揚、簫白円熟と、3部の分かれて簫白の画業を辿っています。そして第3章では、「京の画家たち」として、簫白のライバルたちを紹介しています。
千葉美術館の「簫白ショック」では、展示替えを含めて約60点の簫白作品が登場します。東京国立博物館の「ボストン美術館 日本美術の至宝」点にも、最後の章、第5章を簫白で締め括っていました。修復された巨大な「雲龍図」や、若い時代に描いた「龐居士・霊昭女図屏風(見立久米仙人)」など、簫白の作品が11点も里帰り展示されていました。
後期の目玉はなんと言っても「群仙図屏風」でしょう。僕が始めて簫白を意識して観たのは、「対決巨匠たちの日本美術」展のなかで、この「群仙図屏風」でした。いや、その頃は簫白が何者かはまったく分からずに、若冲との対比で観ていただけでした。「群仙図屏風」については、「とりわけ表現の奇想天外なことは、この種の画題を扱った古今の作品を通じ、まず空前絶後といってよいだろう」と、辻惟雄は「奇想の系譜」のなかで述べています。
「対決巨匠たちの日本美術」展の図録、山本ゆかりの解説には「8人の仙人が群れ集う不可思議な仙界を描く、奇想の絵師・簫白を代表する作品である」とあり、そして「仙人たちの姿や表情、背景を成す岩や雲、波、龍、そして唐子たちは、今日の目で見ると、いかにも怪異的である。水墨を背景に原色を鮮やかに使用した色彩も目に沁みるようである。もと京都の京極家に伝来したといわれ、このような怪貌奇態な感覚が当時の京都で享受されていたことを示す」とあります。署名を見ると、簫白が35歳の年にあたる明和元年の制作と分かるという。
ボストン美術館の「雲龍図」は34歳の画、だとすると簫白の34、5歳の頃は、彼の優れた想像的資質が、一つの沸騰点にあったらしい、と辻惟雄は言います。また簫白と北斎とは、似通った画家と言えるとして、「扱う画題に保守的と同時代的の違いはあっても、鉱物質とでもいうべき乾いた非情な想像力、鬼面人を驚かす見世物精神、怪奇な表現への偏執、アクの強い卑俗さ、その背景にある民衆的支持、といった点が共通しているのである」と述べています。
簫白はある時、冗談まじりに「画を望まば我に乞うべし、絵図を求めんとならば円山主水よかるべし」と語ったと辻惟雄は書いています。この言葉は、応挙の「写生主義」に含まれる無内容な側面を、簫白は鋭く指摘したものだと言います。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第1章 簫白前史
第2章 第1部 簫白出現
第2部 簫白高揚
第3部 簫白円熟
第3章 京の画家たち
第1章 簫白前史
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第2章 第1部 簫白出現
第2部 簫白高揚
第3部 簫白円熟
第3章 京の画家たち
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「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」
18世紀の京都を彩った個性的な画家たち 蕭白、応挙、若冲、大雅、蕪村…… 江戸時代中期、西洋や中国の文化を取り入れる動きが美術にも波及し、特に京都では個性的な画家が多く活躍しました。曾我蕭白(1730~1781)もその一人です。蕭白は京都の商家に生まれ、父を早くに亡くして画業で身を立てました。室町時代の画家曾我蛇足に私淑して曾我姓を名乗ります。盛んに出版されるようになった版本の画譜を活用し、室町水墨画に学んだ復古的な作品を多く残しました。巧みな技術に裏付けられた独特の作品世界は現代人をも魅了します。蕭白が伊勢地方(現在の三重県)で制作した作品は今も三重県内に多く伝わっています。今回の展覧会では修復を終えた、斎宮の旧家永島家伝来の障壁画(全44面、重要文化財、三重県立美術館所蔵)を中心に蕭白の画業を振り返ります。また、蕭白前史として、蕭白が師事したと思われる高田敬輔や、京都で活躍した大西酔月ら復古的な画風の画家を紹介します。円山応挙、伊藤若冲、池大雅、与謝蕪村らの作品も展示し、蕭白のいた江戸時代中期の京都画壇の豊かさを併せてご覧いただきます。首都圏では1998年以来久々の蕭白展となります。
「千葉市美術館」ホームページ
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「蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち」
図録
発行日:2012年4月10日
編集:千葉市美術館(伊藤紫織)
三重県立美術館(道田美貴)
発行:読売新聞社
美術館連絡協議会
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「奇想の系譜」(ちくま学芸文庫)
2004年9月10日第1刷発行
著者:辻惟雄
発行所:株式会社筑摩書房
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