「わけもわからず、開催されている展覧会へ足を運び、そこで実際の作品と対峙し何かを得ておく。この蓄積こそが絵画を観る目の根本、基礎となります」。
上記は、「青い日記帳 」のTakさんが、2007年の「パルマ展」を観て、スケドーニは「見逃してはならぬ画家」リストに入っている、ということを述べた後に書かれていた箇所です。そうなんですよ、ちょうどその頃、Takさんが主催する「オフ会」なるものに、わけもわからず始めて参加したのは。「パルマ展」を観た後だったか、前だったか? その前の年あたりから、わけもわからず開催されている展覧会へ足を運び出したのは・・・。あれからもう5年近くも経つんですね。僕自身、少しは「絵画を見る眼」が向上したかどうか?
国立新美術館で「エルミタージュ美術館 世紀の顔 西欧絵画の400年」を観てきました。エルミタージュ美術館と言えば、一度は行ってみたい美術館の筆頭でもあります。「週刊世界の美術館」では、「NO.7」と「NO.22」の2分冊になっています。それぞれ「必見!ベスト3」が挙げられています。、「NO.7」では、マティスの「赤の食卓」、セザンヌの「パイプをくわえた男」、ゴーギャンの「タヒチの牧歌」が、「NO.22」では、レンブラントの「ダナエ」、レオナルド・ダ・ヴィンチの「ブノワの聖母」、フラゴナールの「内緒の接吻」が挙げられています。まさにエルミタージュの「至宝」ですね。
「赤の食卓」は、今回の展覧会の目玉です。思っていた以上に大きな作品でした。マティスの「赤」がいいですね。それはそれとして、エルミタージュ美術館と言えば、僕の中では、ティツィアーノの「悔悛するマグダラのマリア」ですね。フィレンツェのピッティ美術館にも同じティツィアーノの、同じ題名のものがありますが。いま、二つを並べてみると、やはりちょっと違うんですね。ピッティのは官能的ですがきれい過ぎ、エルミタージュの方はマリアの悔悟の深さが身体全体に表れているように思うんですね。話が大きく逸れましたが・・・。
逸れたついでに、エルミタージュといえば、建築的にも一度は観ておきたいものの一つです。雷帝の死後、動乱期を経てロシア帝国を引き継いだのはロマノフ王朝。都をサンクトペテルブルクに遷したロマノフ王朝は、ヨーロッパ風の新しい都市を建設しました。その新しい都市に歴代の皇帝が100年かけて完成させたのが、冬の宮殿エルミタージュです。ロシア・バロックの粋と謳われるこの宮殿、緑色の鮮やかなファサードに柱の白が映えます。宮殿の最初の住人はエカテリーナ2世、ロマノフ王朝第11第皇帝です。(「NHK夢の美術館 世界の名建築100選」より)
展覧会の構成は、以下の通りです。
1 16世紀ルネサンス:人間の世紀
2 17世紀バロック:黄金の世紀
3 18世紀ロココと新古典派:革命の世紀
4 19世紀ロマン派からポスト印象派まで:進化する世紀
5 20世紀マティスとその周辺:アヴァンギャルドの世紀
乗りかかった舟、たまたま「パルマ展」の図録があるので、スケドーニを調べてみると、「ヴィンチェンツォ・グラッシの肖像」「慈愛」「聖ペテロ」「聖パウロ」「キリストの墓の前のマリアたち」の5点が見つかりました。また、素描版画は「羊飼いの礼拝」「洗礼者ヨハネの説教」「嬰児虐殺」「聖家族と幼い洗礼者ヨハネ」の4点が見つかりました。今回の「エルミタージュ展」では、スケドーニの作品は2点、「風景の中のクピド」と「聖家族と洗礼者ヨハネ」です。「クピド」は図録の裏表紙になっており、今回のさまざまなグッズにも使われている人気者です。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」の“変種”、レオナルド派の「裸婦」は、いわゆる「裸のモナリザ」ですね。Bunkamuraザ・ミュージアムの「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」で、「モナリザ」の“変種”が話題になっていました。この作品は「裸のモナリザ」の作例の中でも、最良の作品の一つだそうです。「裸体のジョコンダ」は少なくとも12点あるという。
今回の目玉、強いて挙げればレンブラントの「老婦人の肖像」でしょう。陰鬱で悲しげな表情を浮かべている老女を描いたこの絵は、かつては「レンブラントの母親の肖像」と呼ばれていたという。「ゆったりとした派手さのない筆遣い、光と影の扱いの巧みさは、レンブラントの様式をまねようとする画家たちにとって規範としての役割を何世紀にもわたって果たしてきた」と、図録で解説しています。
「蟹のある食卓」は、「モノクローム・バンケット(単彩による晩餐)」と呼ばれるオランダ静物画のカテゴリーに属している、という。この作品は繊細な手法で仕上げられ、食卓の高価な品々を描き出しています。特にガラスや金属に当たる光の反射が素晴らしい。ルブランの「自画像」はここ数年、何度か観る機会がありました。いつ観ても時代を超えた美しい作品で、ルブラン自身も「自画像」の最も良い例と見なしていた、という。
「ユベール・ロベール 時間の庭」は、いま、西洋美術館で開催中です。仕事柄、僕は西洋美術館で「ユベール・ロベール」を初めて知り、作品を見て思わぬ感動を得ました。古代の廃墟や朽ち果てた建築を、綿密な繊細なタッチで描き出しています。こちらには「古代ローマの公衆浴場跡」のみ、出されていました。
総じて、16世紀から18世紀までの作品は重みがありますが、19世紀以降になると作品が軽く感じられます。
1 16世紀ルネサンス:人間の世紀
2 17世紀バロック:黄金の世紀
3 18世紀ロココと新古典派:革命の世紀
4 19世紀ロマン派からポスト印象派まで:進化する世紀
5 20世紀マティスとその周辺:アヴァンギャルドの世紀
「エルミタージュ美術館 世紀の顔 西欧絵画の400年」
エルミタージュ美術館はロシアのサンクトペテルブルクに位置し、ロマノフ王朝の歴代皇帝の宮殿からなる建物と、300万点を超える所蔵作品とが見事な調和を織りなす、世界有数の美術館です。本展覧会では同館の優れた所蔵品の中から、16世紀から20世紀初頭における西欧美術の「顔」ともいうべき名作を、その世紀を象徴するキーワードを軸に紹介します。16世紀=人間の世紀、17世紀=黄金の世紀、18世紀=革命の世紀、19世紀=進化する世紀、そして20世紀=アヴァンギャルドの世紀。各世紀を彩るのは、ティツィアーノ、ルーベンス、レンブラント、ブーシェ、レノルズ、モネ、ルノワール、セザンヌ、マティス、ピカソら83作家の作品、全89点です。まさに400年にわたる西欧絵画の歴史をたどる豪華ラインナップです。特に注目されるのは、マティスの最高傑作の一つである《赤い部屋(赤のハーモニー)》(1908年)。東京では実に約30年ぶりの展示となります。