桐野夏生の「オパールの炎」(中央公論新社:2024年6月10日初版発行)を読みました。
久しぶりに桐野夏生の小説を読みました。
ちょっと肩透かしの観がありました。
時代に先駆けて
ピル解禁を
訴えていた女は――
突然、姿を消した。
1999年に日本でピルが承認される約30年前に、ピル解禁と中絶の自由を訴える一人の女性がいた。派手なパフォーマンスで一躍脚光を浴びるも、その激しいやり口から「はしたない」「ただのお騒がせ女」などと奇異の眼で見られ、やがて世間から忘れ去られてしまう――
謎多き女をめぐる証言から、
世の”理不尽”を抉り出す
圧巻の傑作長編!
7 私はなぜ塙玲衣子を書こうと思ったのか?
塙玲衣子のやり方は、きわめて露悪的で挑戦的でした。「男は諸悪の根源」、「男にできて女にできないことは、小便で字を書くことくらい」と発言しました。そして「虐げられた女の味と称し、要請があればピンクのヘルメットを被っては男の会社まで出向き、垂れ幕を掲げて男を攻撃し、そんな男を雇っている会社をも非難しました。
そのパフォーマンスの激しさゆえに、男社会に楯突く女、歯向かう女として怖れられたのです。いえ、怖れられたというよりも、その言説の激しさと活動の派手さ、そして美貌によって、マスコミ受けしたのです。
朝日新聞:2024年8月24日
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