窪島誠一郎の「読むこと 観ること」(アーツアンドクラフツ:2024年3月1日第1刷発行)を読みました。
「活字離れ」「絵離れ」に異論あり!
私設の図書館・美術館主による読書・鑑賞について。
目次
はじめに――「読むこと」と「観ること」
1章 美術館と図書館
2章 「活字離れ」と「絵離れ」
3章 「絵を読む」「本を観る」
4章 ”ツン読”の歓び
5章 「読む」より「買え」
6章 書棚は一冊の辞書
7章 「感想文」より「感動文」を
8章 「本」と旅に出よう
9章 オリーヴの図書館
少し長めのあとがき――ある「幻の図書館」のことなど
最近、あるヒョンな縁から、わたしは近代作家たちの直筆原稿を手に入れました。文字通り近代日本文学の礎を築いた作家たち三十八人の直筆原稿です。わたしは、その会ったこともない作家たちの原稿に接して、作家の裸ん坊の姿を見たような気がしました。・・・メモとか心覚えに書いておくとかいうものではなくて、作家が心から書いているというか、緊張感が伝わってきました。なぜ作家がその言葉を使って、そのこと、その風景を描写したかということが、直筆原稿からはっきりと見えてきたのです。さらに書き手のパッション(熱情)、あるいは文章に込められた感情の一切がその文字のなかから汲みとれました。(「少し長めのあとがき」より)
窪島誠一郎:
1941年、東京生まれ。印刷工、酒場経営などをへて、79年、長野県上田市に夭折画家の素描を展示する「信濃デッサン館」(現KAITE EPITAPH 残照館)を創設、1997年、隣接地に戦没画学生慰霊美術館「無言館」を開設。2005年、「無言館」の活動により第53回菊池寛賞受賞。2016年、平和活動への貢献により第1回フーチャリスト賞受賞。
主な著書に「父への手紙」(筑摩書房)、「信濃デッサン館日記」Ⅰ~Ⅳ(平凡社)、「無言館ものがたり」(第46回産経児童出版文化賞受賞・講談社)、「鼎と槐多」(第14回地方出版文化功労賞受賞・信濃毎日新聞社)、「父 水上勉」「母ふたり」「「自傳」をあるく」「流木記」(白水社)、「最後の絵 絶筆をめぐる旅」(芸術新聞社)、「夭折画家ノオト」「蒐集道楽」「愛別十景 出会いと別れについて」詩集「のこしてゆくもの」「窪島誠一郎コレクシオン」全5巻「枕頭の一書」(アーツアンドクラフツ)など多数。
過去の関連記事:
「信濃デッサン館」「無言館」「無言館第2展示館」:建築編
窪島誠一郎の「私の『母子像』」を読んだ!
窪島誠一郎の「明大前」物語を読む!
「無言館ノオト――戦没画学生へのレクイエム」