島田潤一郎の「長い読書」(みすず書房:2024年4月16日第1刷発行)を読みました。
もっと、読書が好きになる
「本を読み続けることでなにを得られるのか。」喜びだけではない、読書という体験の全体をつぶさに描く無二の散文集。
「本を読みなさい。ぼくのまわりに、そんなことをいう人はいなかった。」
小説を読みはじめた子ども時代。音楽に夢中でうまく本を読めなかった青年期から、本を作り、仕事と子育てのあいまに毎日の読書を続ける現在まで。
吉祥寺のひとり出版社「夏葉社」を創業し、文学をこよなく愛する著者が、これまで本と過ごした生活と、いくつかの忘れがたい瞬間について考え、描いた37篇のエッセイ。
本に対する憧れと、こころの疲れ、ようやく薄い文庫本が読めた喜び。小説家から学んだ、長篇を読むコツ。やるせない感情を励ました文体の力。仕事仲間の愛読書に感じた、こころの震え。子育て中に幾度も開いた、大切な本…。
本について語る、あるいは論じるだけではなく、読むひとの時間に寄り添い、振り返ってともに考える、無二の散文集。
「僕は学校帰りや仕事の帰り、本屋や図書館で本を眺め、実際に本を買い、本を読んだあとの自分を想像することで、未来にたいするぼんやりとした広がりを得た。
目次
本を読むまで
本を読むまで
大きな書棚から
家に帰れば
「追憶のハイウェイ61」
バーンズ・コレクション
江古田の思い出
遠藤書店と大河堂書店
大学生
「風の歌を聴け」
本を読むコツ
文芸研究会
Iさん
すべての些細な事柄
「アリー、僕の身体を消さないでくれよ」
大学の教室で
本と仕事
「言葉と物」
「なしくずしの死」
「ユリシーズ」がもたらすもの
沖縄の詩人
リフィ川、サハラ砂漠
遠くの友人たち
「魔の山」
H君
団地と雑誌
本づくりを商売にするということ
「ちいさこべえ」と「ちいさこべ」
アルバイトの秋くん
本と家族
リーダブルということ
「アンネの日記」
「彼女は頭が悪いから」
子どもたちの世界
宿題
ピカピカの息子
声
そば屋さん
山の上の家のまわり
長い読書
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朝日新聞:2024年6月29日