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世田谷美術館で「民芸MINGEI 美は暮らしのなかにある」を観た!その2

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「民藝 MINGEI」チラシ

 

「民藝 MINGEI」案内板

 

世田谷美術館で「民芸MINGEI 美は暮らしのなかにある」を観てきました。

 

約100年前に思想家・柳宗悦が説いた民衆的工藝、「民藝」。

日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる、この「民藝」のコンセプトはいま改めて必要とされ、私たちの暮らしに身近なものとなりつつあります。

本展では、民藝について「衣・食・住」をテーマにひも解き、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示します。また、いまに続く民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と、受け継がれている手仕事も紹介します。

さらに、昨夏までセレクトショップBEAMSのディレクターとして長く活躍し、現在の民藝ブームに大きな役割を果たしてきたテリー・エリス/北村恵子(MOGI Folk Art ディレクター)による、現代のライフスタイルと民藝を融合したインスタレーションも見どころのひとつです。

柳が説いた生活の中の美、民藝とは何か、
そのひろがりと今、そしてこれからを展望する展覧会です。

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

第Ⅰ章:1941年生活展―柳宗悦のよるライフスタイル提案

第Ⅱ章:暮らしのなかの民藝―美しいデザイン

Ⅱー1 「衣」を装う

Ⅱー2 「食」を彩る

Ⅱー3 「住」を飾る

Ⅱーtopic 気候風土が育んだ沖縄

第Ⅲ章:ひろがる民藝―これまでとこれから

Ⅲー1 「世界の民藝」―新たな民藝の世界

Ⅲー2 作り手といま

 

第Ⅰ章:1941生活展―

      柳宗悦によるライフスタイル提案

1941(昭和16)年、柳宗悦は自身が設立した日本民藝館(東京・目黒)で「生活展」を展開。民藝の品々で室内を装飾し、いまでいうテーブルコーディネートを展示しました。暮らしのなかで民藝を活かす手法を提示した、モデルルームのような展示は当時珍しく、画期的でした。第Ⅰ章では実際に出品された作品を中心に、「生活展」の再現を試みて、柳が説いた暮らしの美を紹介します。

 

第Ⅱ章:暮らしのなかの美しいデザイン

柳宗悦は、陶磁、染織、木工などあらゆる工芸品のほか、絵画や家具調度など多岐にわたる品々を、日本のみならず朝鮮半島の各所、中国や欧米などへ旅し、収集を重ねました。時代も古くは縄文時代から、柳らが民藝運動を活発化させた昭和にいたるまでと幅広く、とりわけ同時代の、国内各地で作られた手仕事の日常品に着目し、それらを積極的に紹介しました。第Ⅱ章では民藝の品々を「衣・食・住」に分類し、それぞれに民藝美を見出した柳の視点をひも解きます。

「衣」を装う

‟只被る為なら美しさ等どうでもいい。だが美しさは着たい気持をそそる。”

― 柳宗悦『用と美』1941年

「食」を彩る

‟人間は美味を好む。だが料理だけに止めるのではない。それを綺麗に皿に盛る。その皿さへも選擇する。”

― 柳宗悦『用と美』1941年

「住」を飾る

‟暮しは色々なものを招く。それに応じて適宜な材料が選ばれ、適当な形が整えられる。”

― 柳宗悦『用と美』1941年

 

第Ⅲ章:ひろがる民藝―これまでとこれから

柳宗悦の没後も民藝運動は広がりを見せました。濱田庄司、芹沢銈介、外村吉之介が1972(昭和47)年に刊行した書籍『世界の民芸』では、欧州各国、南米、アフリカなど世界各国の品々を紹介。各地の気候風土、生活に育まれたプリミティブなデザインは民藝の新たな扉を開きました。
一方、民藝運動により注目を集めた日本各地の工芸の産地でも、伝統を受け継いだ新たな製品、職人たちが誕生しています。本展では国内5つの産地から、これまでと現在作られている民藝の品々や、そこで働く人々の“いま”を紹介します。
そして、本章最後では、現在の民藝ブームの先駆者ともいえるテリー・エリス/北村恵子(MOGI Folk Art ディレクター)の愛蔵品や、世界各地で見つけたフォークアートが“いま”の暮らしに融合した「これからの民藝スタイル」を、インスタレーション展示で提案します。

 

民藝(民芸)とは―柳宗悦と民藝運動

「民藝運動の父」と呼ばれる思想家・柳宗悦(1889-1961)。東京、麻布生まれ。1910年、雑誌『白樺』の創刊に参加。宗教哲学や西洋美術などに深い関心を持ち、1913年に東京帝国大学哲学科を卒業。その後、朝鮮陶磁、木喰仏の調査研究、収集を進めるなか、無名の職人が作る民衆の日用雑器の美に関心を抱いた。1925年には、その価値を人々に紹介しようと「民藝(民芸/みんげい)」という新語を作り、濱田庄司や河井寛次郎ら共鳴する仲間たちと民藝運動を創始する。1936年、日本民藝館を開設し、初代館長に就任。以後ここを拠点に、国内外各地への調査収集の旅、文筆活動や展覧会活動と、活発な運動を展開した。

 

ここから第Ⅱ章:暮らしのなかの民藝―美しいデザイン、Ⅱー1 「衣」を装う、Ⅱー2 「食」を彩るを載せます。

 

第Ⅱ章:暮らしのなかの民藝―美しいデザイン

Ⅱー1 「衣」を装う

 

「裂織丹前」越前(福井)、江戸~明治時代

 

「剣酢漿草大紋山道文様被衣」
江戸時代、18-19世紀

 

「波に鶴文夜着」
江戸時代~明治時代、19世紀

 

「菱刺衣裳」南部地方(青森)
大正時代、1910-20年代

 

「駒散し文様羽織」江戸時代、19世紀
 
「厚司(アットゥシ)」アイヌ(北海道)、19世紀
 
「黄八丈着物」伊豆八丈島(東京)、江戸時代、19世紀
 

青田五良、京都「紬ショール」1930年頃

 

「背負籠」東北地方、1940年

 

「草鞋」朝鮮半島、1930年代

 

「首飾り」パイワン族(台湾)、19世紀

 

第Ⅱ章:暮らしのなかの民藝―美しいデザイン

Ⅱー2 「食」を彩る

 

「深鉢」南安曇郡小倉村出土(長野)
縄文時代中期

 

「いっちん行平」
筑前野間(福岡)、1932年頃

 

「焼締黒流茶壷」
信楽(滋賀)、江戸時代、19世紀

 

「呉須鉄絵撫子文石皿」瀬戸(愛知)、江戸時代

 

「白掛黒流蝋燭徳利」丹波(兵庫)、江戸時代、19世紀

 

「緑黒釉掛分皿」因幡牛ノ戸(鳥取)、1931年頃

 

「漆絵箔置桃文秀衡碗」東北地方、桃山~江戸時代

 

「霰釜」東北地方、江戸時代、18世紀

 

「湯釜」江戸時代、17世紀

 

「岩七輪」羽後阿仁合(秋田)、1934年頃

 

「茶碗籠」備後府中(広島)、1930-40年代

 

以下、その3へ

 

「民藝 MINGEI 美は暮らしのなかにある」

カタログ

監修:森谷美保(美術史家)

編集:世田谷美術館

    東広島市美術館

    富山県美術館

    名古屋市美術館

    東映

発行:朝日新聞社、東映

 

「世田谷美術館」ホームページ

世田谷美術館 SETAGAYA ART MUSEUM

 

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朝日新聞:2024年5月11日


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